福島県教育センター所報ふくしま No.56(S57/1982.6) -007/042page

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を考慮して,言語活動そして言語材料の順序にするのが適当であると思う。

オ 言語活動については,3領域4技能のバランスを年間でとるように計画し,そのLessonはどの領域に適しているかを(HS,R,W)等で示しておく必要があろう。

カ 年間指導計画を機能性のあるもの,親しみやすいものとして充実させるように,加除,訂正,補足して次年度にそなえること。

キ 教材分析を十分行い,生徒の実態に応じて指導事項を選択,統合して教材の重点化を図るなど,取り扱いに軽重がつけられるように計画すること。

ク 広地域カリキュラムとして作成したものに対しては,創意工夫をして,その自校化に努めること。

3. 目標分析と形成的評価問題

 実際の授業実践に具体性を持たせるためには,教材の目標を分析し,英話科本来の目標から来る観点別到達目標の内容を更にくだく'必要がでてくる。教科の本質に即し,教材内容の系統・関達に配慮しながら、観点別到達目標を,内容を含めた行動目標にし,更にいくつかの下位行動目標へと細分化するために,教材の目標分析が不可欠のものとなる。

 まず,内容的要素を,発音,音節,語い,内容把握,重要文型及び文法とし,それぞれの行動目標を設定し,その内容となる知識・理解の項目を認知事項として示した。十分な教材研究の結果明確にされた単元,小単元(課)の目標を,量も具体的な目安として洗い出すためには,認知事項を正しく分類した後で,学校や生徒の実態に応じ,言語材料を中心として精選しなければならない。そこではじめて,「週三時間」を念頭においた,能率的な,効率のよい毎時の授業実践に対処できるわけである。目標分析を十分することにより,教材を系統的,発展的につかめるのである。したがって,その時、そのLessonだけ行うのではなく,学年を通して行い、全体から部分へと焦点化を図ることが大切である。構造的な関連性をふまえた指導もこのあたりから出てこよう。

 次に,このようにして設定された,認知事項を内容とした行動目標に対しての,生徒の到達,習熟の度合いを的確に評価できるテスト問題,すなわち授業過程・学習指導過程の中での評価のためのテスト問題(形成的評価問題)を作成する必要がある。ここでは小単元を単位としたが,実際の使用にあたっては,毎時の指導過程の中に位置づけるのが的確であろう。・英語科においては,言語材料を中心として細分化された下位行動目標に対する生徒の定着の度合いを,その場面,場面で確かめるのが形成的評価の本筋と考えるからである。表2にその例を示す。また今後は,認知事項と形成的評価問題の一つのセットを,難易度をふまえて段階化する必要があろう。

〈1発音,音節,2語い(単語,連語など)省略〉

表2 目標分析と形成的評価問題
内容的要素/行動的要素 行動目標 知識・理解 (認知) 形成的評価問題 (例)
3内容把握 1 Lesson全体の要約を自分のことばで述べることができる。
2テキストのExcersiseがただしくできる。
歴史の時間、ブラウン先生は、生徒たちにペルーにあるナスカ平原の地上絵のナゾとインカ文明について説明する。UFOの話もとびだす中で、授業は活発に、楽しく進む。 3(3ー(1)〜(2))次の各文の中から、本文に合っているものを選びなさい。
a) Mr.Brown showed his class a large ground drawing.
b) All the students didn't believe in UFO's.
c) People in Nasca had planes.
d) The Incas began to build an empire about 1.000 years ago.
e) The history of the Inca is full of mysteries.
4 (4-(1)〜(2))(1)次の各文の( )内の語(句)を正しく並べ替えて意味の通る文にしなさい。
a) We (Emi, call, the girl).
b) I (are, you,that,know,busy).
c) I (plays, think, Taro, well, tennis).
(2) 次の各文に付加疑問を加えなさい。
a) His brother went to the concert.(   ) (   )?
b) Your mother isn't at home now.(   ) (   )?
c) Bob drives a car.(   )(   )?
d) Taro didn't go to New York.(   )(   )?
5 (技能)
・旧友や先生方のこと、又は絵で場面を設定して、次の文型を、列ごとに一人一人、なるべく多くの生徒に言わせる。
     We call (the boy)(            ).
4重要文型及び文法 (1) 文型 ・S+V+O+C(名詞)の文を理解し、表現できる ・We call the girl Emi.
・They called their capital Cusco.
・S+V+O(thatで始まる前、thatが省略された節)の文を理解し、表現できる。 ・I know )that you are busy.
・I think (that) Taro is rood at playing tennis.
(2)付加疑問文 ・be動詞、一般動詞を含む付加疑問文を理解し、表現できる。 ・That's your book, is'nt it?
 Yes, it is.
・You don't play the piano, do you?
 No, I don't.
言語活動(技能) (1)聞く 話す 次の重要事項を含む分が聞いて分かり、話すことができる。 ・重要語句、S+V+O+C(名詞)、S+V+O(thatで始まる前、thatが省略された節)等を含む分を正しく聞き取って、その内容の概要や要点をとらえながら話す。
(2)読む 内容を読んで理解し、要約できる。 ・本文の内容の概要や要点を捉えながら音読したり、黙読したりする。
(3)書く 次の重要事項を含む分を理解し、書くことができる。 ・重要語句、S+V+O+C(名詞)、S+V+O(thatで始まる前、thatが省略された節)等を含む分を理解し、それらについて書くことにより表現する。

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