福島県教育センター所報ふくしま No.56(S57/1982.6) -008/042page
4 「週三時間」に対処するための諸問題
(1) 時数の完全確保と週のなかでの配当
各学校における時間割作成の際,英語教師が強く要望してほしいことは,週の中での英語の授業の隔日制(例:月一水一金,火一木一土)である。もちろん,学校の事情や,他教科との関連があり,かなり難しい要望であろうが,できるだけそれに近づける努力が大切と思う。それは学校行事等で,「週三時間」の実施すらも容易でないからである。
したがって,欠課となった週の課題の提示には十分留意しなければならない。単なるワークブックでなく,授業に直結する予習的課題を行わせる必要があろう。又,教育機器の活用も重要なポイントになる。できれば,学校放送によるラジオ,テレビ番組を利用させたいものである。
(2) 教材の精選
今般の学習指導要領改訂の基本方針の一つに,「基礎的,基本的な事項に精選すること」と明示されている。言語材料の中で精選の対象になるものは,文型,語及び連語,それに文法事項であろう。それらを地域や学校の実態に即して精選することになろう。教材の精選には,単に指導する内容を少なくすることではなく,目標に到達させるために教材を系統的に配列する際の必要性から対処すべきであろう。常に教材の関連をふまえ,年間を通しての教材の配列から精選がなされるわけである。
次に教材の精選をする上での留意点を述べる。
ア 教材研究の重要性
イ地域,学校,生徒の実態把握
ウ教材の精選の対象
工学習指導要領上の留意事項の見直し
オ教材の再構成
カ資料の作成十分な教材研究の上にたって教材を分析し,目標を明確に洗い出し,地域や学校,生徒の実態に即して精選するわけであるが,その際に,学習指導要領上の本筋からはずれないように留意しなければならない。また,教材を再構成して,生徒の抵抗,負担を軽減することも考えられるが,今後の課題であろう。ただ,資料を作成して不備な面をカバーすることは,生徒の情意面の向上ともつながり大切なことである。
(3) 指導法の思いきった転換
改訂のもう一つの基本方針は「言語活動の基礎を養うことを一層重視すること」となっている。この言語活動は昭和44年度から明記されたもので,言語の実際の使用につながる,表現力の育成をめざした活動である。
従来の学習活動中心の授業から言語活動へと変遷してきたわけであるが,当時の指導法でも言語活動が行われなかったわけではない。授業過程の中での計画的,意図的な配慮が不足していたので,文法,和訳中心の手法に流れてしまったと思われる。
以下,指導法の改善の上から気づいていることをあげ,今後の努力点としたい。
ア学習活動と言語活動の融合
イ教師の言語活動に対する手法の研究と実践
ウ生徒一人一人の習熟の度合いに応じた授業
工内容理解のさせ方の工夫
オ場面設定の工夫
カ変化のある言語活動と教室英語の多用化
キ評価の重要性
ク情意面に対する配慮(4) 学習のさせ方
「週三時間」に対処するためには,少ない時数をカバーする意味においても,家庭学習を含め,学習のさせ方を生徒に身につけさせることはきわめて大切である。
まず基本的なことは,教師と生徒との人間的なつながり,信頼感がしっかりしていることであろう。その上に立って,次のような点に気をつけていきたい。
ア平均した学習時間の確保
イdrill的な課題の自学自習
ウ教師の手法と合致した予習,復習
工予習的課題の提示
オラジオ,テレビ,テープの利用
カ自己評価
キ質問5. おわりに
紙面の都合で学習指導案等が欠け,十分に言及できなかったが,言語活動中心の授業に前向きに対処する際の年間指導計画や教材分析の一試案と考えてもらいたい。
また,「週三時間」にかかわる諸問題に対しては,昨年度の授業実践の反省をもとに,生徒の実態に即したものに改善しなければならないであろう。
地に足のついた,わかる授業の実践をめざして。
参考文献
○新しい教育評価の考え方 (第一法規)
○個別化学習の実践下巻 (明治図書)
○英語科到達度評価の実践 (地歴社)