福島県教育センター所報ふくしま No.56(S57/1982.6) -012/042page

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教科外教育

子供の意識の変化と特別活動

経営研究部  小 林  正 守

 1. はじめに

 近年先生方の間で「子供たちが以前とずいぷん変わった」という声を聞くことが多い。

 次の図は,総理府青少年対策本部から出された「昭和55年度版,青少年白書」からの抜粋であるが,このことが裏づけられる。

図1将来のために努力するか(20年前との比較)
図1将来のために努力するか(20年前との比較)


 図1,「将来のために努力するか」との問いに,昭和35年の青少年は54%の者が「努力する」と答えており,「今やりたいことをやる」と答えた者は24%であった。しかし,20年後の昭和55年では,それが27.8%,52.3%と逆転しており刹那的(せつなてき)な考えをもつ青少年が増加していることを示している。

 また図2によれば,「自分がやりたいと思ったことは,世間のしきたりに構わずやる」と答えた者が29%から42.7%へと増加しており,「しきたり」のもつ青少年への影響力が弱まってきていることを示している。

図2 世間のしきたりに従うか(20年前との比較)
図2 世間のしきたりに従うか(20年前との比較)


 このように,青少年の生活意識が変わってきた背景は種々考えられるが,そのいくつかを探り,それに対応した特別活動の指導について考えてみた。

3. 子供たちの生活意識が変化してきた背景

 (1)子供たちどうしの「ふれあい」の欠如現代の一般的な風潮として,「母親も外で働いている」「早く育児をおえたい」「住居が狭い」などの理由から子供は「すくなく生む」傾向が強まった。

 また,子供の遊びもTVやゲーム,あるいは合体マシーンなど個々人で楽しむものが多くなってきた。その結果,昭和20年代のように弟や妹を背中にくくりつけながら,大勢の子供たちが遊びに興じている姿は,まったく見られなくなってしまった。

 元来子供は多くの仲間どうしとの遊ぴや作業などを通した「ふれあい」の中から自主性や判断力,連帯感,所属感等が培われていくものと考えられる。

 しかし兄弟(姉妹)も少なく,友達どうしのふれあいも減少してしまって,母親などの厳しい保護監督のもとに成長した彼らは,素直な良い子も多い反面「三無主義」と呼ばれるような,周囲によりかかった,自己中心的な子供が多くなってきている。

 (2)学業負担の増加

 昭和30年代以降,将来の良い就職口として知的労働を希望する傾向が強まったことや,各産業も合理化が進み,高い学歴を求める社会的要請が生じたことなどにより,高学歴を志向する風潮が強まった。

 そのため,受験戦争に勝利を得ようとする考えから,できるだけ早くより高い水準の学力を子供に得させようと,家庭教師や学習塾など学校以外にもう一つの学習場面をつくり出してきた。

 さらにこの個人教授は体操や水泳,踊り,音楽など本来子供が遊ぴの中から自然に身につけてきた内容のものにまで及んできた。

 子供たちは,大人から教えこまれる場面(学校,塾,〜クラブ)が増加した結果,自分の考えよりは


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