福島県教育センター所報ふくしま No.56(S57/1982.6) -016/042page

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教育工学


わかる授業にせまる教育機器の活用


一その1, OHPの基礎的な取り扱い一

経営研究部  田母神 淳

 1. はじめに

 「わかる授業」ということが言われはじめて,すでに久しく,子供たちが自ら,主体的に授業に参加していけるようにするために,教師は常にいろいろと創意工夫をこらして授業改善に努力している。

 ところで,「わかる授業」を行うことができるということは,教師にとっては,いわば基礎的基本的な技術を身につけていくということではないだろうか。教育方法が合理的になり,かつ指導技術も多彩になってきている現代の教育の中で,特に教育機器を利用できる技術と能力を身につけていることは,これからの授業改善と充実に対して極めて重要なことであると思われる。そこで,これから教育機器を利用していこうとする先生方を対象に,今回は教育後器の活用にあたって基本的におさえておかなければならないことを0HP中心に述ぺてみたい。

 2. 効果的な0HP投映環境づくりから

 現在,各学校には実にさまざまな教育機器が導入きれているが,中でも0HPの普及率は群を抜いている。しかし,その利用となると,必ずしも0HPの持つ教育的な特性や機能を十分に生かしているとは言えない。たとえば,せっかく教室に0HPを持ち込んでも画面がゆがんだ状態で使用したのでは,その効果は半減してしまうことになる。

 まず,0HPを使用する教室の環境づくりから考えていきたいと思う。

 (1)教室内での0HPの配置

 0HPを教室のどこに配置すれば量も使いやすいかを決める条件として次のようなことが考えられる。

 1.映像が明るく写るように,できるだけ暗い場所をえらぷ。

 2.すぺての学習者からよく見える場所におく。

 3.板書のことも考えて,黒板も使用できるようにする。

 4.教師が働きやすく,操作しやすい場所に。普通,学校の教室は図Iのような配置が多いので これらの条件にあった場所の設置を十分に検討していきたいものである。

(図I)
(図I)


 (2)スクリーン

 教室内に専用スクリーンを固定している学校が多くなっているが,移動式で使用する場合であるなら1,5m〜1,8m四方ぐらいのホワイトスクリーンが適している。固定スクリーンでもOHPの光軸に対して直角になるように傾斜できるようになっていることが必要である。また,スクリーンがあまり高すぎて,学習者が見にくく,つかれるような位置だけはさけたいものである。スクリーンの最適な高さは,0HP本体のヘッド部や教師の身体がじゃまにならないこと,前例の学習者の仰角が大きすぎないことである。大体スクリーンの下端の高さが,小学生で120p,中学生で130p程度になるようにするのがよいようである。

 (3)0HPの位置と高さ

 0HPを置く台は車をつけて移動できるようにして,ランプを保護するためにも,できるだけ振動を与えないようにする。0HPのステージ面の長さが80p程度になるように台の高さも工夫したいものである。

 教室がせまいと,いきおい0HPを置く場所も学習者の机と机の間に割り込むようになってしまうが最近は焦点距離の短いのも市販されているので,良く教室の状況等をみて購入するように計画したい。スクリーンと学習者の位置である

(図II)
(図II)



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