福島県教育センター所報ふくしま No.56(S57/1982.6) -017/042page
が,図IIのようにセットできるならば理想的である。
(4)直射日光をさえぎる配慮を
明るい教室,特に直射日光の入るような教室では力一テン等により,ある程度光の遮へいをすることを考えれば,より効果的な投映ができる。
(5)ゆがんだ画面とその補正のしかた
OHPの設置位置が決まったら,正しい投映ができるようにするが,画面がゆがんで正しい形にならないことや,ピンボケ状態で映像が鮮明にならないまま使用していることがよく見られる。図IIIのように,正常な画面にするためには,OHPの光軸がスクリーン面に対し垂直になるようにしなければならない。OHPの位置をずらすか,スクリーンの前傾角度や向きを調節する。
また,ピンボケの原因には、ピント調節の甘さがあるが,画面の部分的なピンボケはフレネルレンズの変形も考えられる。
3. 0HP取り扱い上の注意
環境づくりが終わったら,実際に使ってみることが大切であるが,その前にOHPを取り扱う上で特に注意することをいくつか知っておこう。
(1)使用前に必ず点燈してランプの状態を点検しておく。かけがえのない1時間の授業を大事にするためにも忘れられないことである。
(2)ランプを消した後も,冷却ファンを回しておきランプを冷やしてからスイッチを切る。授業が終わるとすぐにスイッチを切って片づけるのをよく見かけるが,これはよくない。
(3)ランプの点燈中は,できるだけ機体を動かさないこと。点燈中のランプは大変な高温で,ちょっとした振動でも切れることがある。
(4)その他,運搬中の不注意や不完全なセットで機体を落下させるなどのショックを与えないうえに注意したい。
4. 知っておきたい0HPの簡単な手入れ
数多くの教育機器の中で,OHPは一番手軽に使える機器だから,ときには子供たちがセットすることもあると思う。したがって,いつでも使える管理をしておくことが大切である。専門的な構造上のことは視聴覚主任の先生に頼むとしても,次のような簡単な手入れぐらいは使用者はだれでも知っておきたいものである。
●ステージガラスのよごれー柔らかい布でふく。汚れがひどいときはアルコールを含ませてきれいにふきとる。
●投映レンスー写真機用フロアブラシなどでほこりを吹きとばす。汚れが,ひどいときは,ステージガラスと同じ方法で行う。
●フレネルレンズーガーゼにアルコールを含ませて,軽くふく。フレネルレンズはプラスチック板なので熱に弱く,ながく使用すると中心部が曲がって照度むらを起こすことがある。この時は新しいものを交換する。
●ランプの交換ーランプは絶対に素手ではつかまないこと。点燈中は大変な高温で,手の汗やあぷらがついただけでもランプをいためることがある。
●OHPを常にきれいに保持するために,使用しないときは専用のカバーをかけておくとよい。
5. おわりに
OHPの構造等についても述べたかったが,使用にあたっての必要量小限のことにとどめた。ともかく,授業で使用してみよう。TPは市販品でも,自作でもかまわないが,できるなら授業のねらいや内容に合ったTPを自作することが望ましいと思う。自作していくと,製作技法や効果的な提示方法などを勉強する必要性を感じてくる。ひとりよりは仲間と共同製作する方が,よいTPを作る最も効果的な方法である。
参考資料
「OHPの活用とTP製作の手ぴき」 福島県教育センター