福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -006/038page

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    野外観察ルート
野外観察ルート

地域素材の教材化の事例(小学校社会講座,パス利用による3時間半コース)
地 域
([ ]印下車地)
観察・調査・表現の主な項目
低 学 年 中 学 年 高 学 年
1 瀬  上 ・ りんごづくりの工夫 ・ 商店街のようす ・ 旧宿場町の町並み
2 本  内 ・ 施設栽培の広まり ・ 郊外の都市化 ・ 川や堤防の変化
3 杉妻・大町 ・ 交通量と安全施設 ・ 中心商店街のようす ・ 旧郭内と官庁街
・ 旧町人町と商店街
[4] 信 夫 山 ・ 絵地図づくり ・ まちのようす ・ 柚作りと気温の逆転
[5] 卸町(卸売市場) ・ 安全や衛生面への配慮 ・ 消費生活と流通機構 ・ 生活物資の輸入状況

ねらいと地域の実態に即して位置づけている。

3 地域学習と野外観察

 低学年に引き続き,中学年の地域学習において,観察は重要な学習形態の一つである。野外観察や見学の強味は,何としても,具体的事実の示す迫力にある。これが子どもの対し方を新鮮にし,真剣なものにする。「百聞は一見に如かず」の言葉のとおり,口で説明されても分からないことを一気につかんでいき,そこから自分の考えを発展させる場合が多い。
 観察の方法としては,個体観察,比較観察,数量観察などがその基本となる。観察させる際には,形や大きさ,はたらきや動き,分布や位置関係,時間的変化などに着目させて,ねらいや対象に応じて適切に行う必要がある。地理的な面における観察では,「個体(点)的」→「線的」→「面的」把握へと観察力を高めていく必要があろう。すなわち,山がある,大きな建物がある,という個体的把握から,道に沿って集落が並んでいる,川の周りに水田が広がっている,などと線的・面的な把握へと発展させ,更にその理由にも気付かせるようにする。つまり,観察を意味あるものにするためには,知識や技能はもちろんのこと,思考する力が大きく左右すると考える。
 次に,教科学習における野外観察の進め方と実施上の留意点について,その概要を順を追って述べる。

(1) 学年始めの計画
・ 学年の目標に照らし,野外観察を行う単元を決め,指導計画に位置づける。
・ 社会科だけでなく,他教科や学校行事を勘案し,実施の時期・回数などを決め,実施までの準備について計画する。
・ 教師自らが学区域等について十分調査して,指導目標を達成するために効果的な基礎的・基本的観察事項を精選する。
・ 計画案を提出し,校外での指導に対する校長の許可をえておく。

(2) 実施前の準備
・ 観察ルート,観察地点に従ってコースタイムを組み,観察事項について,習熟しておく。必要に応じて,見学の下交渉や資料提供を依頼しておく。特に危険個所,道路事情などを十分確認し,子どもの安全確保に万全の配慮をする。
・ 学年内の打ち合わせを行い,具体的な指導計画を決め実施要項を作成する。実施要項には,実施日と時間,学習目標の要点,ルートマップ,当日の服装,諸注意,携行用具などを記入しておく。
・ 何をどのような観点から観察するか,観察したことをどのように記録し,整理するかについて,具体的な見通しが持てるように事前指導する。
・ 農家,商店などを訪問・見学する場合には,あらかじめ連絡をとり,目的,日時,人数,依頼事項などについて了解をえておく。

(3) 観察時の指導
・ 出発に先だって万全を期すために,出欠状況,健康状態,服装,携行用具を点検したり,観察目標,実施上の留意点,ルートなどを再確認したりする。
・ 集合時刻と場所,説明・注意すべきことは,グループ活動などで解散する前に連絡しておく。
・ 観察地点では,常に今どこにいるか地図上で確かめさせると同時に,何を観察し,何を記録すればよいか手順よく細かく助言し,分かったことはその場で書かせる。
・ 説明は具体的に,簡潔に,明瞭にする。教師は景観を説明するのに「あれ」とか「あそこ」とかの代名詞を使いがちであるが,必ず観察目標になる事物を基準にして具体的に子どもに指示する。
・ 農家や商店を見学する場合には,教師が司会役になって話を展開すると,学習活動を焦点化しやすい。

(4) 観察結果のまとめ


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