福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -008/038page
道 徳
道徳の時間における資料の選択と活用
−身近なところに資料を求めて−経営研究部 佐藤 嘉之
1 はじめに
当教育センタ一主催の「道徳講座」の道徳の時間における指導上の問題点に関する研究協議では,
・ 目標の設定 ・ 資料の選択と活用 ・ 指導過程
にかかわることが,道徳の授業充実を図るうえから常に問題とされるところである。
これらについて,アンケ一ト調査の集計結果と関連させながら,その問題点にふれてみたい。
※ 下の表は当教育センターによる「教育課程の実施に関する研究」のアンケートの一部である。
問 道徳の時間の指導に当たり,先生が問題としていることについて,次の中から三つ選んでください。
N = 100 300%
調査の結果,問題として集中しているのは,「資料が副読本に固定しやすい」という項目であり,さらに,「よい資料が乏しい」と回答したものを含めると,資料に関することが問題点の 1/3 を占めていることがわかる。2 資料選択の現状
この調査からもわかるように,先生方は,自分の受け持っている児童たちに一番びったりした資料を与えたい,児童の心をゆさぶる資料を準備したいと考えても,なかなか思うどおりにはできないという悩みをかかえているのが現実の姿ではなかろうか。
当講座では,こうした教育現場の先生方の課題にこたえ,「資料の選択と活用」に関する演習を実施している。
この演習では,児童の日記や作文,新聞の記事からというような,身近なところに目をむけ,新鮮な資料を発掘してみようとするのがねらいである。その一部を紹介してみよう。3 資料の選択と活用法の事例
<事例 1> 児童の日記を生かして
※吟味条件
(1) 学年 第1学年
(2) 指導内容 (4) 自分の正しいと信ずるところに従って行動し,みだりに他人に動かされない。
他学年〜 自分のことは,自分ですることや,自分の考えをはっきり述べることをねらう。
(3) 本時のねらい 自分の思ったことや考えを,他の人の言動にひきずられることなく,はっきり述べようとする気持ちを育てる。
・ 児童の日記
なわとびをしていたら,きよみさんが,「いれてちょうだい」といってきました。わたしは,いれてあげようとおもったのですが,のりこさんがだまっているので,あとでなにかいわれるといやなので,だまっていました。
・ 資料化の意図
よく道徳の授業に,資料と児童の生活の間に関連がなく,資料は資料,生活は生活といった授業をしてしまうことがある。そこで,今回は児童の日記をもとに資料化してみることにした。
児童の日記文をそのまま利用できるが,資料としての条件をととのえるため,次のように,日記の背景を具体的にし,資料化してみた。
(1) なわとび遊びの場所はどこなのか。
(2) どんな時間になわとび遊びをしているのか。
(3) なわとび遊びの仲間はだれなのか。
(4) かっとう場面はどこなのか。○ 教師による資料化
2こうじの休みじかんに,友だち5にんでなわとびをしてあそびました。はじめは,あしになわがかかっ