福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -017/038page
以上のようなことから,書く機能を生かしたノート指導をとおして,自主的な学習へのとり組みをめざし,思考力を高める社会科の指導にせまりたい。
- 思考の高まりを求めるための手だて
ア 授業の改善につとめる。特に,学習指導過程の研究につとめる。
イ 小集団思考の高まりを求める集団づくりを検討する。(2) 仮説
単元,小単元サイクルでの学習の筋道がわかるようなノートづくりの指導をすれば自主的な学習へのとり組みがみられ,社会的思考力も高まるであろう。 3 計画
(1) 方法 一群法
(2) 対象 5年 1組 34名(男17,女17)
(3) 組織 個人研究
(4) 日程
- 第1期 事前研究の段階(6月〜8月)
ア 研究計画の樹立
イ 実態調査
ウ 研究主題の決定
エ 文献研究
オ 仮説の設定
- 第2期 検証の段階(9月〜10月)
ア 教材研究,指導計画の作成
イ 事前テストの実施
ウ 検証授業とその分析
エ 事後テストの実施
- 第3期 整理の段階(11月〜12月)
ア データの整理
イ 結果の分析
ウ 研究のまとめと反省
エ 研究報告書の作成4 概要と考察
(1) 研究の経過
- 指導過程について
子どもたちの主体的な活動を中心とした学習過程を設定することが,社会科の主体的な学習の成立をめざすことになる。そのためには,探求の過程をとり入れた学習過程が,より効果的であると考えた。それは,探求の過程が,子どもたちの主体性を重視し,基礎的能力を高めようというねらいがあるからである。
そこで,子どもたちの主体的な探求の過程を中核として,探求する行動力の育成をめざして,指導過程を組織することにした。つまり,「課題の設定 − 仮説の設定(予想)−検証 − 結論の吟味」の四段階を,一単位時間,または,単元,小単元サイクルにあてはめ,授業を組織し,その中で,子どもたちの主体的な探求の態度を育てながら,社会的思考力の高まりを期待しようと考えた。- ノート指導について
板書事項を視写するものという,ノートに対する子どもたちの意識を改めさせることから出発しなければならないが,それとともに問題意識を強く持たせる授業の改善につとめなければならない。それには,問題(課題)を解決する方法を訓練しなければならない。そこで,子どもたちのノートを,次のような段階をふまえて記録していくようにさせる。
ア テーマを決める
自分が,今何をしなければならないのかテーマ(調べようとすること)をはっきりとかかげる。「〜をする。」「〜を解決する。」という,具体的なテーマを明確にすることによって問題意識を強化させる。場合によっては,授業の「ねらい」に到達するために,「何を解決すればよいのか。」「何を調べればよいのか。」をテーマにすることもある。
イ 予想をたてる
この場合は,二つの立場が考えられる。
一つは,テーマに対する自分の予想である。もう一つは,子どもたちの予想,予測の成立しないテーマの場合,「テーマをどのようにして調べるか。」「どの範囲に限って調べるか。」「なぜ,そのテーマを設定したのか。」など,調べる「テーマの限定」