福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -020/038page

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  1. 結果の考察
    ア 1の問題では,資料活用の能力を主としてねらった。事前テストの正答率も,平均76.5%と比較的よかった。小問[4]は,事前では2つの資料を上げなければならないことに気づかなかったが,事後では97.1%と開発前と開発後の土地の様子に気がついた。

    イ 2の問題では,思考・判断の能力を主としてねらった。ここでののびを期待したが有効度指数でみる限り,のびは認められない。特に,小問[13]では,「海水が利用できる」という答えを要求したが,「水に困らない」「大量に使える」は説明不足で誤答とした。「海ぞいにあると……」という設問のためか,「輸送に便利」というような問題をよく読まないことによる誤答もかなりあった。誤句や文章で記述させたため,頭の中に入っていても正しく表現できないということかもしれないが,書くことを大切にしてきただけに,問題としなければならない。

    ウ 3の問題では,資料活用の能力を主としてねらった。正答率にかなりばらつきがあった。特に,小問[19],[20]は,小問[18]との関連で答えなければならないので,とまどいを感じたと思われる。「原料の輸送」と,「製品の輸送」を正解としたので,ただ単に「輸送」と答えたものははずした。

    エ 4の問題は,知識・理解の問題だけに有効度指数も高い。「精油所」や「石油精製工場」に対して,「コンビナート」は,くり返して使われる用語であり,正答率も高かった。

  2. 結論
     仮説をふまえた検証授業を実践してきたが有効度指数で見る限り,期待したほどの効果は認められないことになる。しかし,子どもたちのノートや学習態度からは,
    • 板書事項を写すだけというノートからぬけ出しつつある。
    • 授業中の発言も除々にふえ,学習へのとり組みが積極的になってきた。
    • 新聞の切りぬきを集めたり,公害訴訟のニュースに関心を示したりするような子が出てきた。
    というような様子が見受けられるようになってきた。
     ノート指導の効果は,短期間の指導でうんぬんすることは無理である。したがって,さらに継続指導することによって,仮説の有効性を確かめていきたい。

5 反省と問題点

(1) 仮説にそって検証授業を計画したが,予定した時期に計画どおり進められなかった。見とおしにあまさがあった。
(2) 同じ手法で,別な単元または小単元でも指導した結果が得られれば,仮説の有効性が実証されたかもしれないが,検証単元だけことどまっている。
(3) 個々のノート点検の時間がとれず,机間巡視の際に見る程度で,十分な指導はできなかった。
 しかし,「結論jで述べたように.子どもたちに積極的な学習へのとり組みが見られるようになってきているので,計画にしたがい,さらに継続して指導していきたい。

6 参考文献

 教育研究法序説          教育センター
 教育研究の実践           〃
 社会科探究学習の指導計画と展開  明治図書
 授業研究 No.75 No.174      〃
 教育研究法講座 54年度報告書   教育センター

イラスト


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