福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -021/038page

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学校経営

校内研修活動におけるコミュニケーション

経営研究部  佐藤  武

1 教職員のモラールを高める校内研修

 新任の教師は,自分の赴任した学校によって,将来が左右されるといわれる。それは,職場における教職員のモラールや研修意欲が,本人の教職観や職務能力に大きな影響を及ぼすからであろう。特に校内研修が盛んであるかどうかは,今後の長い教職生活にとって,重大な関係があるといえる。
 ここでいう教職員のモラールは,「ある集団ないし組織の成員が,成員であることに満足感と誇りをもって結束し,集団ないし組織の共通の目的に向かって積極的に努力しようとしている感情ないし態度である」(註 1)といわれている。そして,このような教職員のモラールが高まる学校の状態としては,ア,学校運営について個人的な提案や苦情を気やすくいえる。イ,職員会議では活発な討論が行われる。ウ,研修が奨励されている。エ自分の地位や役割が重じられている。オ,市町村教育委員会の助言が適切である。(註 2)などが挙げられている。
 したがって,教職員のモラールと校内研修とは密接な関係のあることがわかる。すなわち,教職員が校内研修への意欲をもてば,学校の教育活動が活発になり,学校全体のモラールも高まり,教師集団の協働意欲に支えられた学校経営が展開されるからである。

    図 1 学校経営講座の研究主題(昭和50年〜54年)
       小・中・高等学校教員(A)151名(B)154名
図 1 学校経営講座の研究主題(昭和50年〜54年)

 校内研修と教職員のモラールとの関連は,当教育センターの「学校経営講座」の研究主題からも推測できる。図 1のように,校内研修の改善の観点から教職員のモラールを高め,学校経営の充実を図ろうとする期待感のあらわれであると受けとめることもできよう。

2 校内研修の問題点のとらえ方

 校内研修上の問題点や阻害点は,図 2・3のように,本県・全国の場合も,ほぼ同じ傾向を示す調査結果が報告されている。また,「学校経営講座」で校内研修を研究主題とした場合の問題点もほとんど同じ傾向になっている。(註 3)しかし,ここで留意したいことは,これらの問題点や阻害点のとらえ方である。

    図 2 校内研修推進上の問題点 −本県の場合−
図 2 校内研修推進上の問題点 −本県の場合−
       「福島県教育センターの調査」 ※ 問題点14項目から4肢以内を選択

    図 3 校内共同研究の障害点 −全国調査の場合−
図 3 校内共同研究の障害点 −全国調査の場合−
       「日本教育会の調査」 ※ 問題点8項目から2肢選択

 これまでのように,研修時間,研修方法など,部分的な外的要因としてのみとらえず,教職員のモラールとの関連から見直し,教職員の集団意識を高める内的要因としてとらえることが大切であろう。大分県教育センターでは,教師集団のモラールに作用する校内研修活動の内的要因として,リーダーシップ,コミュニケーション,協働意欲の三つを挙げている。(註 4)この考え方を取り入れて校内研修活動の実際について考察するわけであるが,「リーダーシップ」のことは,すでに前年度の所報で述べているので,(註 5)今回は,コミュニケーションの視点から,教職員のモラールを高める校内研修活動のすすめ方について述べる


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