福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -027/038page

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 ◎ 以上のように,活用をくふうすることによって,有効に活用できる。

3 なぞの箱の自作と活用

 科学的な見方,考え方には,いくつかの項目が考えられるが,その中で観察する。記録する,推論する,モデル化する,結果を解釈するなどは重要な項目である。それらを子どもが自主的に用いることによって探求していくことは,科学的な見方,考え方を自分のものとしていく上で大切である。
 このなぞの箱は,そのような過程を子ども達にふませるために自作したものであり,とくに,既習したことをもとにして解決させる。これらのなぞの箱は,中がみられないしくみになっている,いわゆるブラック・ボックスというものの一種である。

(1) 具体例 永久磁石の種頬と位置をあてる箱
 内部のようす 写真1,写真2,箱の上にTPシート,または,紙を1枚のせて,その上に鉄粉や,方位磁針等を動かしてその反応をTPシートの上にしるしていく。すると磁石の極の位置や種類,磁石の形などがあてられる。
写真 1 写真 2
写真 1 写真 2

(2) 指導過程の例

  1. 問題把握・箱の中の磁石の位置を調べるように指示し,諸注意を与える。
  2. 情報の収集・情報をできるだけ多く集めさせる。
  3. 予想・箱の内部の磁石の位置を予想させる。
  4. 検証・箱の内部を見て,結果を確かめさせる。
    ちがった場合は,その原因をはっきりさせる。

(3) 指導上の留意点と考察
 「箱の中にある永久磁石が,どのように入っているか調べなさい」とよびかけると,手当り次第に調べる子どもがいるし,記録もとらないで次々に作業を進めていく子どももいる。このような形では,正しい推論をすることは不可能である。順序正しい観察,わかりやすい記録の必要性などもここで,はっきりとらえさせることができる。また,どのような事実をもとに推論し,モデルを作ったかを説明させるようにすると,いい加減な考え方では正しいモデル化ができないことにも気づかせることができる。さらに,できたモデルを自分で再現して検証させるように指導するなどしていけば,即物的思考の訓練や,速さ,確実さの要求,想定し得るあらゆる場合を考え出すことの訓練などにも大いに役立つのではないかと考える。

(4) 電気配線をあてる箱
 弁当のおかず入れを利用して自作したもの。内部のようす写真 1,両端のクリップと,上部のターミナルA,B,C,Dをつなぎ,電球の明るい,暗いで電池の直列,並列つなぎをあてる箱。
写真 1 写真 2
写真 1 写真 2

4 その他の自作教具

  1. 簡易テスター,利用学年4年生以上
    弁当のおかず入れを利用して自作したもの。
    導通,導体,不良導体などを調べる。写真 1
  2. 光学実験用スリット,利用学年5年生。
    弁当のおかず入れを使用して自作したもの。
    自由に光源の位置を,遠近でき便利である。
    写真 1 写真 2
    写真 1 写真 2

5 おわりに

 自作した教具を学習の展開過程の中で活用し,解決された問題は,子ども達に生きてはたらく知識となり,さらに新しい疑問が生ずる根源となる。このような学習過程をたどるとき,子どもの科学的な見方,考え方,扱い方などが深まってくると思う。また,自作教具に表われる教師の研究的態度が児童に与える無言の教育的な意義は大きく,学習者に近親感を与えるものです。諸先生方のご参考になれば幸いです。


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