福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -003/038page

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となる。特に,規則を工夫し,公正に行動する態度や行動がとれるようにすることが基本的な内容とされる。また,できるだけ,特定の技能を学習内容として取り上げることはさけなければならない。

    図 2 第3学年のリレー学習の展開例(10時間)
図 2 第3学年のリレー学習の展開例(10時間)

 リレーの評価の観点は,児童のねらいが充足されて楽しんでいるかどうか,すなわち,課題としての規則や作戦の工夫,練習の進め方,競争の仕方などいわゆる楽しみ方へ着目して評価の内容が決められ,一般に技能と態度(図 3)としてとらえられる。

    図 3 リレーにおける技能,態度の評価内容

技  能 態  度
 自分たちの力を使って,
規則や作戦練習の仕方を工夫して
力いっぱい運動して楽しむ。
 規則や学級の約束を守り,
勝敗を素直に認める行動のとり方。

 何を評価するかは,何を学習させようとしたのかということの表裏の関係にある。リレーの評価は,リレーの学習内容をどう指導するかに問題が移され,その評価の観点は,次のような項目が考えられる。

(1) いろいろのリレーの仕方(場のつくり方,規則の工夫,勝敗の決め方や審判など)ができるようになったか。

(2) ゲームの中で,バトンの受け渡し,回旋の仕方などの技能がしだいに向上し,それに伴って,更に規則や場の条件などを変化・強化させて楽しむことができるようになったか。
 1. 個人的技能レベルは,どの程度に伸びたか。
 2. 各グループの勝敗や,それと各グループの力との関係はどう変化したか。

(3) みんなの意見や気持ちをくみとり,みんなが納得できる遊び方はできたか。一人一人の欲求や力をめぐる個人差の生かし方に工夫がみられたか。また,その問題に特に,関連した規則の工夫がみられたか。

(4) 規則やきまりを守り,勝敗の結果に対する態度を心得て運動することができたか。
 1. 規則やきまりをよく守るようになったか。
 2. 勝敗の結果を素直に認める態度がみられたか。

(5) ゲームの中で楽しさ・喜びがみられたか。
 1. 力いっぱいリレーをした喜びがみられたか。
 2. リレーの仕方を変化させる楽しさがみられたか。
 3. ゲームに勝ったときの喜びはみられたか。
 4. グループ内で,仲間から自分が認められたときのうれしさや喜びがみられたか。
 5. 作戦を工夫し,それが成功したときの喜びがみられたか。

5 リレーの授業における評価の方法

 評価は,学習活動全体を通して行われるとともに,学習指導と表裏一体となって進められ,特に,診断的評価,形成的評価が重要な役目を果すと考える。

 導入段階に行う診断的評価は,学習指導の方向を明確にするもので,これによって学習指導の具体的なねらいが把握でき,また,このことから,評価の観点をいっそう具体化することに役立てることができる。リレーでは,性格検査,リレーの好き嫌い調査,50m走の記録などがこれに当たる。導入段階で児童の実態を知るとともに,グループの編成をするとき,それぞれのグループをできるだけ同質にすること,グループにリーダー的存在が必要なことなどの資料を得るために大切な評価である。

 形成的評価は,展開の段階における評価であり,学習過程における指導の改善に役立てようとするものである。学習活動において,児童が夢中になって活動し,規則をつくったり,守ったりしながら,グループ内の人間関係が円滑にいっているかを観察し記録することなどがこれに当たる。これは,その時間,あるいは,次時以降の指導に生かされたり,総括的評価を行う際の資料として活用できるものである。リレーにおける形成的評価の方法としては,次のような項目が考えられる。

(1) バトンの受け渡しなど技能の変容は,教師がねらいに即して観察し評価カード(図 5)に記録する。
(2) 練習の仕方・規則の決め方の工夫などは,教師の観察及びグループ内の相互評価で確かめさせる。
(3) グループでの協力の仕方,教え合ったことは,学習カード(図 4)で自己評価及び相互評価させる。
(4) 規則を守ったり,勝敗の結果に対しての児童の態度については,教師の観察及びグループ内の相互評価で確かめさせる。


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