福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -004/038page

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(5) 各グループがどう変容したかは,勝敗の結果などをもとに教師が記録する。
(6) リレーの楽しさや喜びをどのように味わうことができたかは,自己評価及び感想文などをもとに確かめさせる。

 自己評価及び相互評価は,「学習者を納得させる評価」という意味で大切である。特に,自己評価は児童が自分自身をできるだけ正しく知ることができるように学習カード(図 4)などを用いて評価の方法を明示し,評価させることが大切である。

    図 4 学習カード(自己評価用)の例

   月   日   き ろ く ひ ょ う  名まえ
きょうのねらい くふうしたきょうそうでまけないようにしたい。







はんせいすることがら よ い ふつう よくない きょうの学習で楽しい
なと思ったこと
ねらいのとおりいっしょうけん
めいがんばりましたか。
    おもしろいくふうができたこと。
ねらいのようにみんなとなかよ
くやりましたか。
   
くふうしながら運動しましたか。    
きまりがまもれましたか。     きょうの学習でいやだ
と思ったこと

 総括的評価は,学習成果を総合的に判定することであり,評価資料をどんな表現で記録するかが問題になる。このとき,なるべく,判定の意味が具体的にわかるようにするのがポイントになる。当然それは,学習指導のねらいから導き出されるものである。また,資料から学級の傾向を客観的にみるために,必要に応じて数量的な操作ができるような評定尺度(図 5)を作っておくことが不可欠となる。このような評定尺度を用いて,リレー単元における評価資料を収集し,整理しておくことにより,リレー学習の総括的評価を適切に行うことができるのである。

 なお,授業の中での評価の仕方,小単元内での学習過程の中での評価の仕方については,下記の当教育センター紀要が参考になるので参照されたい。
 ・ 第39号「2−1−2方式の授業研究」
 ・ 第47号「個を生かす研究」

6 評価資料の活用

 学習活動全体を通して得られた評価資料は,何よりもまず児童自身が自分の学習状況を知り,次の学習への動機づけになるよう活用しなければならない。一方,教師は,リレー単元を終了した時に持ち合わせている評価資料(学習カード,感想文,教師の指導や観察の記録など)を幅広く駆使して,次の三点から授業を反省してみることが,授業改善のために重要なことである。

    図 5 リレーの教師用評価カードの例
  内          容 できたら○ 判  定
 
技能 1. グループ内で,チームのねらいを決め,
練習することができる。




















2. ルール・作戦及び練習の方法を工夫し
て力いっぱいリレーすることができる。
 
3. 直線ゴースを全力で走ることができる。
4. 小回りに早く回旋することができる。  
5. すばやいバトンパスができる。
態度 1. グループできまりをつくり,それを守
ってリレーができる。
 



















2. 勝敗を素直に認めることができる。
2. 審判や失敗した友だちを非難したりし
ないでリレーができる。
 
4. グループで協力し.仲よく行動するこ
とができる。

(1) リレーの持つ特性にふれて,楽しさや喜びがどのようにみられたか。
(2) 個々の学習内容を,どの程度,習得させることができたか。
(3) 学習指導の方法は,児童のねらいや課題達成のために有効であったか。
 更に,学期末や学年末の成績評定をする時点で,各種の評価資料を総合的に活用すれば,適切な成績評定がスムーズに行うことができるのである。

7 おわりに

 体育の授業が,学校の実態に即した教師の創意工夫に求められるようになり,その評価の観点が運動の特性にふれる楽しさ,喜びをとらえることに重点がおかれるようになってから,体育の評価は,むずかしいと言われるようになった。しかし,体育の授業でも児童に考えさせ,話し合わせ,工夫させることが重視されれば,評価は,いっそう重要になるのではないか。第3学年のリレーを例に,評価のあり方について述べたが,授業の工夫や改善のために役立てていただければ幸いである。

参考文献
 (1) 小学校指導書 体育編    文部省
 (2) 体育学習評価ハンドブック  大修館
 (3) 体育の観点別到達度評価   大修館
 (4) 体育授業研究(No.9)    明治図書


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