福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -005/038page
小学校教材
OHP用理科教具の製作とその利用について
科学技術教育部 平山 昇
1 はじめに
理科の授業においては,児童自身に実験させながら,理科に対する興味と関心を高め,自然現象への理解を深めさせていくのが最も良い方法である。
しかし,児童の中には実験の意図が理解できなかったり,実験の能率が悪く十分な実験結果が得られない者もいる。このような場合,教師実験によって現象を正しく捕えさせる必要がある。教師実験は,児童を前方に集めて,観察させるのが常であるが,児童の移動によって,授業の能率の低下をきたすこともある。これらの問題点の解消を図る方法の一つとして,OHPを用いた実験を検討してみた。
ここでは主として,化学領域についての実験に必要なセルと,OHP垂直投影用の反射鏡の製作を試みた。その結果,比較的安価に作ることができたので,その製作の方法と実験例をあげることにする。
2 OHP垂直投影用の反射鏡の製作
(1) 材 料
- 鏡(30.5 × 20.0 × 0.3 cm) 1枚
- 鏡わく材
A(18.7 × 2.5 × 1.5 cm) 2本
B(32.0 × 2.5 × 1.5 cm) 2本
- 鏡支持用木材
C(40.0 × 7.0 × 1.5 cm) 2枚
D(22.0 × 14.0 × 1.5 cm) 1枚
E(25.0 × 5.0 × 1.5 cm) 1枚- 六角ボルト(4.0 × 0.5 cm) 2本
- ちょうナット(5 mm) 2個
- ワッシャー(5 mm) 4枚
- 釘(3.8 cm) 12本
- 釘(3.2 cm) 4本
- 木工用接着剤
- 紙やすり(120番)(180番) 各 1 枚
注1 鏡わく材 B には図 1のように,5mmの穴をあけておく。また,鏡わく材 A ,B には,巾1.5 cmのところに,深さ8 mm,巾3.5 mmの溝を掘っておく。溝を掘る道具がないときは,鏡わく材 A Bの代わりに次のものを準備する。- 鏡と同じ大きさの板(30.5 × 20.0 × 1.O cm) 1枚
- 横板(30.5 × 2.5 × 1.0 cm Bと同じ位置に穴をあけたもの) 2枚
- 塩ビ板(20.0 × 5.0 × 0.2 cm) 2枚
- 木ねじ(1.2 × 0.2 cm) 8本
図 1(2) 製作方法
紙やすりを用いてすべての木材の表面を滑らかにする。
- 溝付きのわく材で鏡を固定する。
ア 鏡にわく材をはめ,ゆるみがあれば余分の材料を切断する。
イ 釘を打つ所に,きり又はドリル(2〜2.5 mm)で穴をあける。
ウ わく材が鏡より小さくないことを確認してから,固定箇所に接着剤を付け,釘(3.2 cm)で止める。- 溝なしの材料で鏡を固定する。
ア プラスチック折り曲げ器を用いて,塩ビ板を,鏡と板の厚さの巾でコの字型に折り曲げる。
これを用いて鏡と板を図 2のようにはさんで,木ねじで板に固定する。
イ 横板に釘止め用の穴をあけてから,接着剤を付け,釘で固定する。
図 2
- 鏡支持台の製作
ア 支持台用木材 C(40.0 × 7.0 × 1.5 cm)にドリルで図 3の位置に5mmの穴をあける。
図 3
イ 釘を打つ所に,きり又はドリル(2〜2.5 mm)で穴をあける。
ウ 固定箇所に接着剤を付けてから,図 4,図 5のように釘で止める。