福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -007/038page
一性を理解させる。
実験方法 1
[1] ドロップ等を糸でつるして,溶ける様子を観察させる。
[2] 砂糖や食塩等を目の粗いろ紙に包んで,溶ける様子を観察させる。
注4 普通のろ紙は目が細かすぎて,現象がわかりにくいので,この実験に用いるろ紙は,コーヒーろ過用のろ紙や精密機械除じん用の紙(キムワイプ S−200等)を用いる。実験方法 2
2個のOHP用セルに水を入れ,それぞれにフェノールフタレン溶液を数滴加えて,よくかく拝する。溶液が静置したら,一方のセルには,結晶炭酸ナトリウムをろ紙に包んでつるし,他方には大豆位の大きさの結晶を静かに入れ,2個のセルを比較して観察させる。
注5 この実験で溶液が赤くなるのは,溶解した結晶炭酸ナトリウムが加水分解によって,アルカリ性を呈するからである。
図 10(2) 物質の粒子の大きさと溶ける速さ
・ ねらい 物質を砕いて小さくした方が速く溶けることを理解させる。
実験方法
砕いた氷砂糖と砕かない氷砂糖を,それぞれろ紙に包み,水を入れた別々のセルにつるして観察させる。(3) 飽和溶液
・ ねらい 飽和溶液を視覚的に理解させる。
実験方法
OHP用セルの一方には5%食塩水,他方には飽和食塩水を入れる。食塩をろ紙に包んで,それぞれのセルに入れて観察させる。(4) 水溶液の濃さと重さ
・ ねらい 水溶液の濃さと重さの関係を視覚的に理解させる。
実験方法
[1] 5%の食塩水と25%の食塩水をOHP用セルに入れる。
[2] 小さなポリビン(容積15ml程度)に,色素入り15%食塩水をいっぱいに入れ,空気が入らないように蓋をする。このポリビンを,上記のそれぞれのセルに入れ,浮き沈みを観察させる。
[3] [2]の実験終了後,コマゴメピペットを用いて色素入りの15%食塩水を,それぞれのセル中の食塩水に直接滴加して観察させる。
注6 この実験に使用する色素としては,食用色素(赤色102号等)が有用である。(5) 水の温度と水の重さ
・ ねらい あたためられた水は軽く,冷たい水は重いことを理解させる。
実験方法
[1] 色素入りの水を10mlずつ2本の試験管にとり,片方を氷で冷やし,他方をアルコールランプで加熱する。次に,2つのOHP用セルに水を入れる。
[2] [1]のそれぞれの色素入りの水を,コマゴメピペットで吸い上げ,セルの底の方に入れ,静かに押しだして様子を観察させる。(6) リトマス液と酸・アルカリ
・ ねらい リトマス液は液性によって変色することを知らせ,これを用いて酸とアルカリを区別することができることを理解させる。
実験方法
[1] 3本の試験管に,それぞれ3mlの赤色リトマス液をとり,この試験管を角型のOHP用セルに入れた後,セルを水で満たす。
[2] それぞれの試験管に,塩酸,食塩水,水酸化ナトリウム溶液を滴加して,リトマス液の色が変化するかどうか観察させる。
[3] [1][2]の実験を青色のリトマス液についても行い,変色の具合を観察させる。
注7 リトマス液の代わりに,ムラサキキャベツの抽出液を用いる方法もあり,変色も鮮やかである。6 おわりに
OHP用垂直投影装置は既に市販されている。ここでは,簡単にしかも安価に製作する方法を述べたが,この程度の用具でも十分効果をあげることができる。今後さらにセルの大きさ,形に検討を加え,より効果のある利用法を考えていきたい。