福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -011/038page
態は,話すことに自信がないのに学校や家で話すように強制されているため,ますます話をすることに不安をいだいていることがうかがえる。
また15度以上の傾斜が絵の中にでていることから攻撃的な態度について次のように解釈できる。
話せないため,ますます欲求不満となり,内にこもった不満を解消するために他人に対して攻撃的な態度を示すようになったものと思われる。
イ、指導内容とその結果
K子は,カウンセラーを見つめ,身体を緊張させていたので,遊戯療法や運動をとり入れてラポート形成につとめた。始まってからしばらくしてカウンセラーにとけこむようになり,行動もスムーズになって身体の緊張もとれてきた。
- 10月27日
ア、HFDの総合解釈
HFDは,前回同様の情緒指標がほとんどで,変化しているのは,15度以上の傾斜がなくなったことである。このことは,精神的な不安定感を示めさなくなったことと,攻撃的なところがなくなってきたためと思われる。他人に自分の考えていることが伝わるようになってきたことによって,他人に対する攻撃的な態度がなくなったものと思われる。
別な観点からみると人間関係が改善されつつあることも推察できる。つまり,K子をとりまくまわりの人達の努力が効を奏してきたせいかK子は人間関係に自信がでてきたので人と接していても精神的な不安定感を示さなくなったものと考えられる。
口については,前回と違った形になっている。口が開かれて描かれている。このこのは,話ができるようになったからこのように描くとは断言できないが話すことについて変化があったと考えることができる。
イ、指導内容とその結果
K子は,運動をしている途中から,話すようになった。初めは,笑い声からはじまり,短い単語をならべるように話しはじめた。学校での様子を母親から聞いてみると担任と短い会話ができるようになったとのことである。
- 11月10日
ア、HFDの総合解釈
情緒指標で変化がみられたのは,密着した両脚,短い腕がなくなったことである。
密着した両脚と短い腕がなくなったことは,内気なところと,心の中の緊張がとれたことになり前回よりも話せるような状態になっているものと考えられる。
また,口や顔の表情については,今後の研究にまたねばならないが,一応注目できる変化としてみていく必要があるのではないだろうか。
イ、指導内容とその結果
K子は,遊戯室でも楽しく話すようになり,行動も活発になってきた。学校でも先生や友達と仲よく遊び,会話も楽しくできるようになった。従って,今回で面接を終了し,今後は学校に指導をお願いすることにした。参考文献
・子供の人物画 コピッツ
・緘黙,孤立児 全国情緒障害教育研究会