福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -013/038page
マクロ機構などのついた近接撮影が可能なカメラであれば便利だが,なければクローズアップレンズの使用ができる。(No.1,No.2,No.3などのレンズを単独あるいは組み合わせて使用する。)これらのレンズはテレビカメラ専用のものでなく35ミリカメラ用のもの(フィルター類も同じ)をレンズの取りつけ部の口径さえ合えば使用することができる。
3 テレビカメラの取り扱い上の注意
テレビカメラやVTRなどというと何か特別にその機構が複雑で,こわい物に手をふれるような感じでしり込みする人がいるが,操作や扱い方さえ注意すれば,テープレコーダーと同様に気軽に使用することができる。35ミリカメラや8ミリカメラなどフィルムを使用するカメラは,レンズキャップなしでも割合安心して携帯できるのは,フィルム面に不用意な光があたらないようにシャッターがあるからである。ところが下の図でもわかるように構造上はよく似ているが,テレビカメラにはシャッターにあたるものがない。レンズのすぐ後にはフィルムと同じ役目をする撮像管という特殊な電子管があって,レンズキャップをしていないとレンズのとらえた画像はいつも撮像管の撮影面に像をむすんでいる。この撮像管は太陽光などの強い光には極めて弱く,強い光が入ると「焼き付き」現象がおこり使用不能になってしまうことがある。以下テレビカメラの使用にあたっては,次のようなことに十分注意してほしい。
(1) 太陽光などの強い光には絶対にテレビカメラを向けないこと。(直射光だけでなく,窓ガラスなどからの反射光などにも気をつけること。)
(2) 使用しないときには,電源を切り,レンズキャップをしておくこと。
(3) 高温,多湿な場所での使用や保管は避けること。
(4) 使用中は磁気を発生するものを近づけないこと。
(5) 急激なショックを与えないこと(特に運搬するときに自動車のトランクの中に入れることは避けたいものである。)4 テレビカメラ(カラー)の基本操作手順
テレビカメラ,特にカラーカメラを使用する場合の操作手順を簡単にまとめてみると次のようになる。
(1) まずレンズの絞りを決める。絞りを開くと被写界深度(焦点の合う深度)が浅くなり,ピントの合う範囲が狭くなる。普通は最低でもF5.6〜F8ぐらいのところでおさえ,それ以上はできるだけ開けないようにしたいものである。
(2) 次に色温度の調整をする。(ホワイトバランス)と呼んでいるものもある。)被写体の色温度が高いときは映像全体が青く撮れ,反対に低いときには赤く撮れるのでモニターテレビに写し出された映像をみて適度に調整する。ホワイトバランスを調整するカメラでは,あらかじめ白い紙を撮影して調整するようになっている。
テレビカメラは多くの光を要求するので適当な色が出ないときには必要により照明を使うことになる。
(3) 被写体にピントを合わせる。ズームレンズを使用するときは,あらかじめ最望遠の状態でピントを合わせておくこと。こうしておけばズームアウトしてもすべてにきちんとピントは合うことになっている。
(4) テレビ画面に写し出す構図を決める。どんな構図がよいかは各自で研究してほしい。
(5) 最後にカメラワークを決めて撮影に入る。5 授業研究にVTRの利用
VTRやテレビカメラを教材教具として授業で利用するだけでなく,自分自身の授業の記録に利用してみてはどうだろうか。授業の開始から終了までの1単位時間をVTRに記録することにより,教師と学習者の応答の音声はもちろん,授業の実際場面がそのまま再現できるのを利用して,科学的,客観的な研究や分析ができ,また学習指導や教材研究に重要な役割を果たすことも可能である。せっかく授業前に十分な教材研究をして立派な指導案を書いたり教材教具を準備したりして,いざ本番となっても,授業は時間の経過とともに消えてしまう。それだけにVTRで記録にとどめておいて事後の研究に役立てることも大切ではないだろうか。