福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -021/038page

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研究プロジェクト状況報告

教育課程の経営に関する研究

文責  須永 英次

はじめに

 学校経営におけるマネージメント・サイクルの考え方を教育課程の展開に生かし,経営的発想に基づく教育課程のPDSはどうあるべきかを,教育現場の具体的問題に対処しながら調査研究を進めてきた本研究も第2年次にはいった。第1年次は,本研究がとらえた三つの課題のうち,「動態的にとらえる教育課程の経営」,及び「教職員の経営参加」の二つに研究の視点をおき,実証的に研究を進めてきたが,第2年次の本年度は,残されたもう一つの課題である「教育課程評価試案の開発」を研究視点として研究を進めている。

 第1年次の県内56校の小学校を対象にした調査において,教育課程評価への意識は高まりつつも,その実施に当たっては,評価の観点・項目・基準などを明らかにした教育課程評価票の問題が解決されないまま,従来の方法で形式的に行っているという実態がとらえられた。このように,具体的な教育課程評価票の開発は,教育現場から現在最も要請されているところであり,さらに,教育課程評価より改善にいたる過程への積極的な取り組みが教育課程経営の現状的課題である−本研究の趣旨より−ことを考える時,本年度 並びに最終年度の第3年次の研究が本研究の趣旨・目標の合致してくるのである。本年度は,当教育センターとしての「教育課程評価票試案」の開発を意図した教育課程評価についての理論構築と,中学校を対象にした調査に基づく実態の把握を主軸に研究を進めているが,以下,16名のプロジェクトチームによる本研究の研究内容の一端をここに紹介するものである。

1 本年度研究の視点

 教育課程をマネージメント・サイクルにのせ,その機能を十分に発揮させるためには,評価・改善より更新計画への過程を具体的にどうするかが最も問題になるということは前述のとおりである。第1年次の調査においても,この過程については,編成・実施の両過程にくらべ,実践上の諸問題が多く指摘されており,さらに,それらの問題点に対する改善の視点として,次の3点をあげている。

 各学校が,教育課程の展開と効果の判断に役立つ教育課程評価票をそれぞれつくることは望ましいことではあるが,教育現場の現状からして容易なことではない。従って,本研究が,研究の成果として,「教育課程評価票試案」を研究開発し,現場に提供することは,各学校が教育課程経営上かかえる諸問題を解決するための有効な資料になるものと思われる。本年度は,教育課程評価票試案開発の礎石として,教育課程評価に関する理論を構築する計画であるが,理論研究の方向として,教育課程評価を次の視点でとらえるようにした。これはまた,教育課程評価票作成の視点につながるものであり,作成上の基本的態度でもある。


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