福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -025/038page
研究実践校紹介
表現力を高める授業の創造
= 国語科を窓口として =福島市立大森小学校
はじめに
本校では,昭和55年〜56年度,福島市教育委員会から表現教科の研究指定を受け,昨年11月に研究公開を実施した。今年度は,文章表現力の向上をめざして,その継続研究に取り組んでいる。
1 研究主題
「表現力を高める授業の創造」(国語科を窓口として)
◇ 第1年次「国語科表現力の基礎研究」 (昭和55年度)
◇ 第2年次「授業創造への志向」 (昭和56年度)
◇ 第3年次「文章表現力の基礎・基本」 (昭和57年度)2 研究の経過と概要
(1)第1年次の研究(昭和55年度)
- 研究主題が設定された起因と設定理由を明確にした。
- 表現力を高めることの意義と「表現(力)」の概念を規定した。
- 国語科における表現力とは何かの文献研究 基礎研究に力を入れた。
ア、「表現」の本質的機能を把握し,研究内容を次の三領域とした。
イ、国語能力と表現能力との関連を次のようにおさえた。(図 2参照)
〔表現力を頂点においた国語能力の構造〕
ウ、表現指導の目標を的確にとらえ,学年の到達目標を作成した。(表 3参照)
一年 I 朗読することかできる。
はっきりした発音で,ゆっくり読むことができる。
・ 力づよい発音で.音読できる。
・ 文末まで,はっきり発音できる
・ くりかえしや読みちがいがないように読む。II 話し合うことができる。
落ちついて筋のある話ができる。
・ 聞かれたことに答えること。
・ ゆっくり落ちついて話すこと。
・ 話の筋がわかって話すこと。
・ 気持ちよく調子のよい声で話し合うこと。III 作文することができる。
発問によって読みとったことを文にまとめることができる。
・ 口答作文や文字で書くこと。
・ 正しく速く視写すること。
・読みとったことを表や吹き出しやノートにまとめることができ
エ、どうすれば表現力を高められるか,研究仮説を設定した。
(ア) 児童は表現したい欲求を持っている。
(イ) 表現の目的・内容・技能の三つの指導を徹底する。
(ウ) 児童の表現活動を学習活動の中心に置く。
(エ) 表現力向上のための三原則を重視する。
・ 実際に数多く表現させること。
・ すぐれた作品を賞賛し,鑑賞させること。
・ 表現されたもののよしあしの判別の能力をやしなうこと。
(オ) 児童の表現の実態から出発する。
(カ) 表現力評価の根本は,一人一人の児童の自己内評価にある。