福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -028/038page
音 読 の 事 例 到 達 の め や す 「うわあ,すごい。なんて大きいうちだろう。」 目をまるくして,おどろいた声で読める。 「うへえ,おどろいた。」 とびあがって,おどろくほどの声や感じがつかめる。 「ゆうじくん,ひこうきはかえすよ。だから,この家もかえして。」 急にうらやましくなり,欲ばりな気持ちをのぞかせて読める。 「おうい,このうちは,ぽくのうちだからね。だまって人らないでよう。みんな,出ていっておくれえ。」 ひとりじめにしたい気持ちをこめて,いじわるそうに読める。
きつねの気持ちの変化を読みとってから,きつねの会話文をどう読めばよいか考えさせるところでは授業記録を見ると,次のようにおこなわれている。
T きつねさんの「うわあ,すごい。……」を,どんな声で,どんなふうに読んだら,きつねさんの気持ちがよくでますか。 C1 「うわあ」というところを,口をいっぱいあけて言うと,びっくりしているみたいです。 C2 それから,長く伸ばすと,もっとびっくりしているようになります。 C3 「すごい」は,力をいれていいます。
個人毎の音読カルテを通して指導がくりかえされた。一斉読,一文読み,グループ読みなど多彩な活動を取り入れながら,一人一人の音読の機会や回数を以前より多くしようとこころがけた。- 結果と考察から
M児の録音テープを聞くと次のような変容がわかる。
ア、 4月始めの教材「春の子もり歌」の録音
M児はおくれがちの児童の一人で,ひろい読みつくり読みがひどかった。休符で間をおいた時間の長さを示した。
(かん字が読めない)(ひろいよみの傾向がみられる)(促音がわからない)
イ、 9月上旬教材「スイミー」で,はじめの読みの録音
・ ひろい読みの傾向が少しずつなくなってきているが,棒読みで感情がこめられていない。
・ 切るところがはっきりせず,意味が通じない。
ウ、 同教材の終末段階における録音
・ 会話文を感情をこめて生き生きと読めるようになった。
・ 間を正しくとって読むことはまだむずかしい。
(2) 第5学年における作文指導の実際
- 5年生の重点到達目標
◎ 文章を書くことによって,自分の考えを明確にすること。
○ 必要な事柄を観点ごとに整理して書くこと。
○ 事象と感想,意見などを区別して書き,主題や要旨のはっきりした文章を書くこと。- 単元名 5年「自分の意見を」(6月教材)
教材文「まん画を読むのは悪いか」をもとに,体験や調査資料を生かして意見文を書く
A学級では広域カリキュラムの指導計画で実施,B学級では児童自身の体験や調査にもとづいて,書くことの練習学習(トレーニング)を取り入れた。- B学級における主な指導
ア、 「なぜ,まん画を読むのは悪いか」家の人やみんなの考えをもとに,200字程度の文章を書く。
(調査資料 1) 父母は,自分の子どものまん画を読む態度をどう見ているか。