福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -031/038page

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  1. カンナがけ
     ア、 板を固定するために版画板をつかう。
     イ、 カンナのしたばと板の削る面はいつも密着させて削る。図 1
     ウ、 カンナは机の上に置き,手前に引くようにして削る。図 2
     エ、 同じ大きさの板は二枚重ねて削る。
     オ、 木ばが平らに削れたかどうかは,図 4のようにしてみるとよくわかる。
    図 1 図 2
    図 1 図 2
    図 3 カンナ身と裏がねの刃先は頭髪一本ぐらいに合わせる。 図 4 板と板の間にすき間がなければまっすぐ削れている。
    図 3 カンナ身と裏がねの刃先は頭髪一本ぐらいに合わせる。 図 4 板と板の間にすき間がなければまっすぐ削れている。

     カンナは,切れることと,刃の合わせ方が大切である。刃の合わせ方はむずかしいので教師が合わせてやるとよい。
     カンナがけは,のこびきと同じように版画板を利用すると板が固定されて大変削りやすい。しかも,図 2のようにカンナを机の上に置くようにして削ると,木ばや木口が板の面に対して直角に削ることができる。また,木ばや木口にはどうしても弓なりに削れる事が多い。それをなくすために,図 1のように板とカンナを密着させて削ることが大切である。
  2. 接着
     ア、 側板をボンドで接着する。(完全にかわかす)
     イ、 箱の底に合わせて,底板を削りながらはめこむとすき問ができない。(ボンドで接着する。)
     箱のふたや底板は,側板を接着してから合わせて作るとすき間ができない。
  3. 塗装,漆器の「むしくい」という技法を使って塗装する。
     ア、 水性塗料の溶液を捨ててかたくねる。
     イ、 スポンジに塗料をつけて,たたくようにぬる。なるべくでこぼこにすることが大切である。(下ぬり)
     ウ、 乾燥する、4日〜6日ぐらいで充分である。
     エ、 配色を考えて,平らにぬる。(上ぬり)
     オ、 乾燥する、3日〜4日がよい。
  4. 研ぎだし
     ア、水ペ一パーの800番〜1000番ぐらいで水をつけながら研ぐと上の色がとれて,下の色が模様となって出てくる。
     「むしくい」は漆器の塗装法であるが,それを水性塗料でやったわけである。下ぬりの色は厚めにぬるが,うまないように注意しなければならない。上ぬりの色は薄い方が研ぎだしのときに楽である。研いでいくと,偶然におもしろい模様が出てきて,小学生にも大変楽しくできるし,水性塗料だから取扱いも簡単である。

    児童作品
        児童作品

4 おわりに

 製作過程全体をふりかえってみると,材料に対する抵抗を少なくしたこと,版画板を利用して作業をしやすくしたこと,新しい技法を使っておもしろい模様を楽しく簡単に表わすことができたことで,児童達に満足感を味わわせることができた。
 このように,喜びと成功感を持たせた事が,次への製作意欲を盛り立てる結果となった。


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