福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -033/038page
波形の変化を定量的にもふれてみる。従来は部品のはたらきに転移できない生徒が多いので,OHP用自作回路を低周波発振器とオシロスコープに連結し,波形の変化から回路要素部品のはたらきを補う。
写真 2(コンデンサ特性) 写真 3(Tr静特性) 写真 4(Tr動特性) 写真 5(Dの整流特性) 写真 6(6石ラジオ) (4) 生徒用実験回路 は導入時の興味感心を起こさせる教材として11種類の一石増幅器を提示してみた。
例えば,明るくなると小鳥が鳴く回路では,入力側になんの音をも入れていないのに小鳥の鳴く声がスピーカから出力されることやコンデンサの容量の変化から小鳥の鳴く声が変化するしくみなど生徒自身の課題を意識させるのによいし,同時に製作意欲を強く喚起する。
例 4. 明るくなると小鳥が鳴く回路
写真 7(5) 生徒の自作回路 は各班ごと多様であるが,どれも電流(I B ,I C )の流れは正常であり,電流増幅作用を理解できる結果が得られている。
パネルを使っての製作は,ブロック式や既成基板に組みこむ場合より時間がかかり教師の援助活動も大変であるが,手作業の技術向上の面からも貴重な体験であり,今後ますます取り入れる必要がある。
写真 9(コンデンサ実験) 写真 10(Tr静特性回路) (6) 回路構成力を診断 する場合,単にペーパーテストによって,事前,事後,把持,有効度指数からも判断(紙面の都合で掲載省略)をしたが,今回はその診断法に加えて,一石低周波増幅回路の基本から発展回路まで実際に実体図や配線図で書かせて,個々の生徒の理解度を診断することを試みてみた。生徒は回路図として正しく,しかもいろいろな配線と部品の配置を考えるものである。
回路構成力の診断
4 反省と問題点
(1) 電気領域の生徒の興味,関心は高いが,学習に対する抵抗感もまた大きい。それは,指導法が理論的な解釈中心だからであり,中学生の発達段階を考えるとやはり実験,製作を先行すべきである。
今後はこうした視点から教材教具の開発をさらに進め,基礎・基本を定着させるよう多面的に教材化を検討したい。(2) 生徒どうしの探求心がなんといっても学習効果を上げる。生徒自ら学びとる意欲の喚起を大切に今後の授業においても援助活動をくふうしたい。