福島県教育センター所報ふくしま No.58(S57/1982.10) -034/038page
アイディア紹介
全盲児のための歩行訓練用補助具と
盲精薄児(方向音痴も含む)のための補助教材について福島県立盲学校教諭 佐藤 末雄
視力障害者にとって,その障害を克服するためにはまず,点字の読み書きと歩行訓練がある。とりわけ歩行は現代社会に生きる盲人にとって多くの困難性を含んでいる。道路を歩いていると,車,自転車看板,電柱,側溝,道路標識,商店の陳列物,廃棄物……等,これらの障害を察知して避けて通るにはそれ相当の訓練を要する。
ここに紹介するのは視力障害者が歩行訓練をするに当って効果的に学習できるよう工夫考案したものである。その1 タッピング練習器
タッピングというのは,盲人が道路を歩く際,白杖で路面をつくこと(tapping)である。スウィング(swing)は,白杖を左右に振ることでこの二つの連携によって自杖歩行がなりたつ。swingの幅は肩幅と同じでなければならない。ようするに前面を向いて歩行している際,両肩で通過する範囲(路面も含む)に障害物がなければよいのである。ところが実際訓練してみると常時肩幅にタッピングすることは難かしいようである。
そこで,実際歩行に入る前に十分練習を重ねて常時肩幅が取れる態勢を作るというのがこれから紹介する練習器である。