福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -014/038page

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受講者の感想

学校経営(A)講座を受講して

いわき市立平第二小学校教頭  枝 野 三 郎

はじめに
 わたしにとって,数少ない蔵書の中に,装丁も素朴さを感じさせる一冊の報告書がある。昭和56年度学校経営(A)講座報告書と二段に書かれ,下に福島県教育センターと印刷されている。パラパラとめくると,いろいろな書体で書かれているが,汗の結晶であり,貴重品でもあり,また,思い出もひとしおつきない。
 昨年度,学校経営(A)構座を受講する機会に恵まれた。前,中,後期の三期に分かれ,延ベ12日間のセンターでの研修を,34名の県内の小・中・高の先生方とご一緒し,研究の成果をまとめていただいた報告書だからである。内容については,学校経営上の諸問題についての研修を深め,識見と指導力を高めることをねらいとした研修であり,集録である。

 <前期>
 学校経営研究の進め方を中心にご指導を受けた。この講座では,とくに,2日目 3日目が研究全体の動向を左右するので大事であり,持参した1枚のプリントをもとに,研究テーマの適否,そして研究の見通しが適切であるかどうかを吟味していくのである。わたしは,「校内研修」にテーマを求めたが今日的な課題は,教育課程,生徒指導のようであった。しかし,あくまで勤務する学校の問題を解決していくのであるから,とくに規制はない。要は,その見返りとして学校全体が,その面でプラスになればということである。福大教育学部の菊池教授の,「教育研究の進め方」は,大変参考になった。また「日本の現状と課題」で,福島民友編集主幹,斉藤英記氏の講演も印象に残っている。

 <中期>
 所員の「学校経営評価」「教育課程の経営」の講義は,現場で,実際に活用できる内容であり,資料も良かった。この期間は,受講生が3枚にまとめた研究物を,更に,内容・方法の点での検討を二日間にわたって,個別にご指導を受けた。相談相手になる所員の万も,受講生も文字通り真剣そのものであり適切なご助言には,今回も敬服させられた。添田義務教育課長,小林主幹もお出でになり,「教育行政上の諸問題」等についての講義があり,身のひきしまる感じで,教育実践を進めていく上で,充実した内容であった。

 <後期>
 年があけて,1月下旬,各自の研究成果の発表である。持ち時間10分。中期にTP等を作成して要領よく発表するように,ご指導があったが,発表が間近になるにつれ緊張感を覚えた。皆,堂々と発表しておられた。わたし自身,発表を終えた時は何かこれで7ケ月に及んだ研究が,すべて終わったような感じになった。しかし,自分の研究物のつたなさに,何かむなしさを覚えた。
 さて,センターでの12日間は,実りのあるものであった。所員の方々の暖かいご指導・専門的な深さには心をひかれた。また,外部講師の方を紹介する時の経歴,終えてからの謝辞などは,本当に心溢れるものであり,ぬくもりを感じさせられた。図書館の利用もしたが,係りの方は実に親切であり気持ち良かった。この講座には,外部の講師陣が前期の方々に,牧 昌見,長谷川寿郎 岡部一三の各氏,又福島交通専務,永岡直好氏の「企業経営と研修の新方向」など,多彩であり,狭量なわたしにとっては大変有意義であった。
 宿舎生活での語らいも,県北,県中,会津の方々とご一緒で,学校運営のこと,生徒指導のこと,校長を補佐していく姿勢などを含め,それぞれ情報交換もあり,貴重であった。

おわりに
 この研修の機会を与えていただいたことに感謝しこれが,今後の生活に反映されるようにしたいと思っている。それが真剣にご指導いただいた所員の方々へのお礼でもあり,また,自校の発展に寄与するものと思っている。そして,自分自身がより豊かになる糧にしたいと思っている。


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