福島県教育センター所報ふくしま No.59(S57/1982.12) -013/038page
ついては拡大投影されているためあいまいである。したがって,実物の大きさを知らせる必要があるときは,大きさの類推が可能になるような基準物を同時に写し込む必要がある。
(3)静止映像や拡大映像によって,細部にわたって観察したり,動態の瞬間状況を静態として,鮮明に印象づけをすることができる。
(4) 上映スピードを自由にコントロールできる。
(5) 1コマスライドは,ねらいに即して上映順序を組み替えて使用できる。また,別の教材として利用することもできる。ロールフィルムスライドは全体で一つのねらいにそって順序よくまとめられており,あるまとまった意味や内容を伝えるためにも,途中で止めたりしないで利用することが望ましい。
(6) 色彩がきれいで,教材の自作が容易であり,フィルムの整理,保管も簡便である。5 スライド自作上の留意点
市販のスライドもたくさんあるが,教師の意図するような学習活動ができない場合は自作が必要になってくる。カメラを使ったことのある人なら,だれでも簡単にできるので,下記のようなことに留意してどんどん制作してみてほしい。
(1)学習指導との関連のうえで,どのような目的により制作するのかを明確にし,全体を何枚ぐらいで画面構成するかを考える。
(2) 画面構成が決まったら,簡単なコンテ(台本)(図2)を作成する。画面のもつ意味やねらい.構図,角度,位置なども書いておく。図2.スライド台本の使用例
(3) 撮影には,カメラぶれに気をつける。スクリーンにはかなりの倍率で拡大投影されるので,できるだけ三脚を用いたはうがよい。
(4)撮り直しが困難なものについては,2〜3枚撮影し,一番良いものを使うようにする。
(5)編集の段階で,コマの画調を整え,極端に明るいものや暗いものはできるだけさけて画面構成をして,コンテにしたがって解説をつける。6 スライドの自作法
一番簡単なのは,スライド用のカラー・リバーサルフィルムを使用する方法である。ふつうのフィルムと同じようにカメラに入れて撮影すればよい。ただ,撮影後,現像処理を写真店に頼まなければならないため日数がかかるので,使用予定の授業にまにあうように余裕をもって準備しておくとよい。一眼レフカメラを使用すると,望遠,接写などの方法で野外教材,本,写真などからの拡大,接写もできる。また,写真店に頼めば,カラーのネガフィルムからスライド用のフィルム(ポジフィルム)をつくることもできる。そのほか,白黒,カラー,コピーフィルムのネガから,カルバーフィルムやジアゾフィルムを反転させてスライド用のポジフィルムをつくる複写機,また,本などの資料から直接ポジフィルムをつくるスライド作成機などが市販されている。7 おわりに
学校においても,ビデオカメラやVTRが入ってきて,写真にかわって学校行事等の記録保存に活躍しているところもある。しかし,VTRはあってもビデオカメラはまだだとか,VTRさえない学校もあるのが現実である。それなら,スライドをもっとひろく活用してみてはどうだろうか。修学旅行の事前指導や事後報告会,学校行事の記録保存などには従来から使われてきているが,今後,スライド制作の新しい試みとして,いわゆるゆとりの時間などの自主活動の時間に制作活動などを位置づけ,各種のコンクールと同じように,20コマ,5分間位のスライドづくりの時間を設定し,地域の文化や学校の諸活動を新しい角度から再発見させてみるのはどうだろうか。カメラも,カセットテープレコーダーも自由に使いこなす児童・生徒たちであるから。
参考資料 視聴覚教材の効果的利用法(日本視聴覚教材センター) 視聴覚教育指導者講座資料(文部省)