福島県教育センター所報ふくしま No.60(S58/1983.02) -005/038page
中学校教材
OHPを用いた光弾性実験装置の試作
−本質的な設計の学習をさせるために− 科学技術教育部 笹 川 征 喜
1.はじめに
技術・家庭科における製作学習は,ひとりひとりの生徒がそれぞれくふうをこらし,使用目的にあった物を創りだす活動である。しかし,施設・設備の問題や材料の購入,個別指導のむずかしさなどの理由から,ややもすると,すべての生徒に同じ物を作らせてしまうことが多いようである。
このような場合でも,生徒に本質的なくふうを体験させる余地を残したいものである。
ここでは,荷重と構造の強さの面から本質的なくふうをさせるため,外力によって構造物の内部に発生する応力の分布をかんたんに観察できる装置を試作したので,その概要を紹介する。2.OHPを用いた光弾性実験装置の概要
透明エポキシ樹脂坂で構造模型試験片を作り,この試験片に荷重をかけ,OHPで投影し,試験片にしま模様を作らせる。このしま模様から実際の構造物の強さを推定させていく装置である。(1) 試験片に荷重をかける装置
定量的な分析ができるよう,うでの自重を相殺してある。(枠はL型鋼を使用している。)(2)鏡 台
垂直現象の投影をすると,像は倒立実像となる。この倒立実像を正立させるために用いる。(3)偏光板
偏光板(A),(P)ともに市販されているプラスチック製のものでまにあう。偏光板(A)については,定量的な分析ができるように円形にして,回転角度を直読できるようにしてある。3.構造模型・部材模型試験片の製作
透明エポキシ樹脂板(厚さ6o)に実物と同じかまたは,相似の形をけがきする。けがき方は一般金属へのけがき方と同じでよい。つぎに,1〜2oの仕上げしろを残して糸のこまたは弓のこで切り抜き仕上げしろをやすりで仕上げる。このとき,強い力をかけると材料にひずみ(残留応力)が残るのでとくに注意したい。また,万力を使うときは,ゴムなどで材料をおさえ,残留応力の発生をふせぎ,光沢面にきずをつけないように留意する。