福島県教育センター所報ふくしま No.60(S58/1983.02) -007/038page
図9 三角形補強構造
図10 横ぬき補強構造しま模様写真(等傾線)からわかることは
1,それぞれ特徴的な応力分布を示している。
2,横ぬきや斜さん補強処置だけでは依然として大きな応力が発生する部分が認められる。
3,三角形補強構造は,他の構造の場合に比べて著しい応力分布の低減が認められる。
4,横ぬき補強の場合,横ぬき及び,横ぬきより下部の応力分布は非常に少ない。
5,図9のように,横ぬきを荷重を受ける部分に使うと,図8に近い効果がある。
一般的には応力分布が少ない構造ほど安全性が高いので,外力が大きい場合は三角形構造が望ましいといえる。その他の構造物でも許容限度内であれば応力をできるだけ集中しないようにくふうすることができる。例えば,図6から,横ぬきの位置を上げて,脚を細くすることなどもおもしろい発想といえる。(脚を長くした花台になる。)(3)断面形状の異なる部材模型試験片に荷重を加えた場合の応力分布を観察する。
図は,部材模型試験片の縮尺1/2である。
支点間の距離は100o,中央集中荷重である。
図11 高さ10o,幅6o 4kgfしま模様写真(等傾線),図11と図12−4は非常によく似ている。このことは,断面の高さが2倍になると,同じ応力分布にするには4倍の荷重が必要になることを示している。つまり,曲げ強さは高さの2乗に比例していることがわかる。幅については材料の関係で確認していないので省略する。
5.おわりに
この装置は,市販されている光弾性実験装置と原理的には同じである。ただ,安価に製作でき,多人数が同時に観察できる利点がある。設計の学習を,荷重と構造の関係に着目させ,興味を持って取りくませるために開発したものである。この点をふまえて参考にしていただければ幸いである。なお,試験片を生徒に作らせれば,より楽しい学習が展開できるのではないかと思われるので付記しておく。