福島県教育センター所報ふくしま No.60(S58/1983.02) -008/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

特 別 活 動

自主的・自発的態度を育てる係活動

経営研究部   小 林 正 守

1.はじめに
 学級会活動における係活動は,学級の中で児童・生徒一人一人が何らかの社会的役割を受け持ち,全員が共同の目的のもとに行う自治的活動であるが,自主的・自発的態度を育てるうえから,活動の充実が望まれているところである。更に活動を通して次のようなねらいの達成も期待されよう。
・ 係の仕事を分担し,進めていく過程で,所属感や連帯感を深め,集団意識を高めていく。
・ 活動の苦しさや楽しさを分かち合うことによって,望ましい人間関係を醸成する。
・ 集団の目標と自分の仕事との関係を考え,計画的に仕事を進めようとする心構えを養う。
・ 協力し合い,工夫し合いながら組織的に活動し,創造していくことのすばらしさを感得させる。
・ 自分の分担した仕事は進んで処理し,最後までやりとげようとする責任感と,よりよい仕事をしようとする心構えを養う。
 これらについては,児童・生徒の学年的段階に即応しながら,漸次ねらいの高まりが期待されるものであろう。

 さて,これらのねらいをもつ係活動についても,組織のあり方,活動意欲,時間のとり方など,具体的な問題が多く聞かれるので,それらに焦点を当てながら対策についても考えていきたい。

2.係活動に関する問題点
 係活動は,学級成員の実態,教師の指導のあり方などによりさまざまな展開となっているが,それらが適切な活動となっているかどうか,検討される必要があろう。問題点としてよくあげられているのは次のようなことである。

 (1)係が児童会(生徒会)組織の下請けであったり,固定化したりしている。
 (2)係活動がマンネリ化し,児童・生徒の活動意欲が低下している。
 (3)係活動と当番活動を混同している。
 (4)係活動と話し合い活動との連携が十分に図られていない。
 (5)係活動が十分できるような時間の確保がされていない。

3.係活動を充実させるための対策
問題点についての改善を図り,適切な活動をさせるためには,次のような対策や配慮が望まれる。

 (1) 組織編成に児童・生徒の意志を反映させる。係の組織づくりは,前学期の反省に基づいて組織や活動の方法について改善を図ることとなろう。したがって,前学期の係をそのまま踏襲したり,安易に委員会の組織をそのままあてはめるのでなく,現在の学級生活をより充実させていくためにはどんな仕事があり,どんな係が必要かという観点から見直しをしたいものである。
 必要感から生まれた係であることが,「させられる係」から「する係」「しなければならない係」へと意識を変えることにより,学級生活も一層充実し,児童・生徒の自主的・自発的態度も醸成されるものと思われる。

(2)動機づけと激励・承認を心がける。係が決まっても,係活動がただちに活発に展開されるとは限らない。反対に低学年の児童などの場合は何でもやりたがる。これらを上手にコントロールし,望ましい係活動となるように方向づけをするためには,具体的な事象による動機づけが大切である。

 例えば,新聞係の活動意欲を喚起するため,他の学級または学年の新聞を提示したり,校内めぐりをして環境整備係に意欲を喚起させたりするなど,効果的な動機づけを工夫したいものである。
 また,係活動が始まっても何の障害もなく目的が達成されることは少なく,さまざまな問題が生じて途中で挫折してしまうことが多い。そのような場合,直ちに援助したり,干渉したりせず,問題解決の糸口を児童・生徒と共に考え,係員を激


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。