福島県教育センター所報ふくしま No.60(S58/1983.02) -009/038page

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励し,温かく見守ってやる配慮が大切である。自主的な活動を促すためには,外からの干渉がましい働きかけは少なくする必要がある。児童・生徒自らの手で仕上げたという成功感や成就感を味わわせることが,以後の活動意欲に大きく影響するものである。

(3) 係活動と当番活動との区別を明確にする。
  係活動も当番活動も,学級生活の維持向上のためという点では一致するが,児童・生徒の自治的活動の範囲であり,創意工夫を生かせるという点では大きな違いがある。小学校低学年の段階では両者の区別は無理と思われるが,児童の発達段階に応じて漸次明確にしていきたいものである。
 参考まで,両者の違いをまとめると次のようになろう。

 <当番活動にした方がよいもの>
 1 学級の管理上で教師が必要と認めた仕事
 2 全児童に平等公平に輪番に行わせる仕事
 3 活動内容は教師の指示によって行うことが多く,児童・生徒の創意工夫を生かしにくい活動
 4 単純な反復による作業活動
 5 一部の児童・生徒にのみまかせると負担過重になるような活動
 (例)学習の連絡や準備,出欠席調査,日誌の記入,黒板掃除など

 <係活動として適当なもの>
 1 児童・生徒が学級生活向上のため必要と認めてつくる係
 2 児童・生徒の実態に応じて処理できる水準にあるもので,児童・生徒が創意工夫を生かす余地のある活動
 3 常時,活動できる仕事の量があり,学級の児童・生徒全員が分担できる活動
 4 学級の自治的活動の範囲にあるもので,個人の利益を目的としない活動
 5 グループ(集団)でできる活動
 (例)学級図書係,文芸(新聞)係,環境整備係など

(4)話し合い活動の内容の焦点化を図る。
  係活動は,児童・生徒自らの発意や必要感から生まれ,みんなの創意工夫を生かしながら活動していくので,学級成員による話し合いは必要欠くべからざるものといえる。特に係活動の組織・運営に関する話し合いは,その内容を焦点化し,それを児童・生徒にも認識させておくことが,話し合いの能率を高め,円滑にする上からも大切なことといえよう。係活動における話し合いは,例えば次のようなものがあろう。

 1 組織しようとする係についての話し合い
 2 活動の内容を理解してもらうための話し合い
 3 学級全員の意向を聞くための話し合い
 4 各係間の連絡調整についての話し合い
 5 問題に当面し,その解決のための話し合い
 6 係活動への希望や苦情についての話し合い
 7 係活動の反省評価のための話し合い

(5) 係活動の場と時間を意図的に確保する。
  話し合いの結果,反省や改善・推進の方法が出されても,実際には各係が活動できる場と時間が確保されていなければ,活動意欲もそがれてしまう。活動の時間として使えるのは,休み時間,放課後などであるが,創意を生かした教育活動の時間を充てることも有効と考えられる。なお,時間内で効果をあげるように計画面までの指導が大切と思われる。

4.おわりに
 係活動における問題点と改善を図るための方策等について具体的に述べてきたが,これらについては常に特別活動の基本的な性格及び目標を十分に理解したうえで判断していく必要があると考えられる。学級会活動の具体的な活動の内容としては,小学校では,話し合い活動(中学校では学級生活における諸問題の解決を図る活動),係の活動(学級内容の仕事の分担処理に関する活動),学級集会の活動(楽しく規律正しい学級生活を築くための活動)があげられているように,三つの活動が相まって推進され,充実が図られるものである。
 「なすことによって学ぶ」特別活動の本質をふまえ,望ましい学級集団づくりと児童・生徒の自主的,自発的な態度の育成に更に努力したいものである。

<参考文献>
・小(中)学校指導書 特別活動編 各部省
・特別活動各論 岡本孝司 教育開発研究所
・自主牲を育てる係り活動 高橋大蔵
               ぎょうせい 他

・特別活動 VoL15 6 日本文化科学社


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