福島県教育センター所報ふくしま No.60(S58/1983.02) -029/038page

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研究実践校紹介

魅力ある職業教育の推進について

福島県立白河実業高等学校

1.はじめに
 近年,生徒の能力,適性,進路の多様化の実態は各種の客観的な実態調査などから,あきらかに浮きぼりにされている。いっぽう,家庭環境・学校環境の変化,さらに高度経済成長から安定経済成長への移行など,社会情勢の変化には著しいものがある。そこで,これらの状況に対応できる高校教育を見なおすことが必要な時期に来ていると思われる。

 特に,本校のような職業高等学校においては,職業学科に対する理解が不十分なまま,目的意識をもたないで入学してくる生徒が年々多くなってきている。さらに,入学志願者も減少しつつある。このような憂うべき状況のもとで,本来の職業高校の目的である生徒の職業的能力の伸長をはかり,将来の産業経済社会へ貢献できる人材を育成するということも非常に困難になってきている。

 以上のような現状から,以前にもまして生徒の能力,適性をじゅうぶんに伸長させ,さらに,望ましい勤労観や職業観の育成をはかり,実社会へ対応できるような職業教育が必要となってきている。

 そこで,本校では,昭和56年度,57年度の2か年にわたり,福島県教育委員会の指定を受け,前記の諸問題解決へのこころみとして,生徒の実態と地域や父兄の要望,さらには実社会からの要請にこたえて,「魅力ある職業教育の推進はいかにあるべきか」という主題を設定し,研究にあたってきた。主題の解明にあたっては,中学生を含めた地域の人々に対する広報を主眼とした,副題1「職業教育に対する正しい理解をはかるためには」を設定し,さらに,本校の5つの学料(農業,機械,電気,家政,商業)の各学料の特色を生かして,生徒に具体的な目標を与え,学習意欲の向上をはかることをねらいとして,副題2「職業高校における学習指導の充実」を設定した。各学科の学習指導の成果については,他の機会にゆずることとし,この稿では,副題1の広報活動の分野において2カ年にわたって実践した様々の研究内容について,その成果,反省点について述べることとしたい。

2.ガイドブック,VTR番組を活用した広報活動
 本研究副題1「職業教育に対する正しい理解をはかるためには」の推進にあたって,中学校および地域社会に対しては,あらゆる機会をとおして,本校の教育内容,特色,卒業後の進路などを紹介し,職業高校への理解と啓蒙をはかることが必要であろう。また,入学してきた生徒に対しても,職業への理解を深めさせ,望ましい進路意識の形成をはかり,自覚ある産業人を育成することが重要である。職業高校に対する正しい理解をはかるために広報活動が果たす役割は非常に大きいと思われる。

 以上の点を考慮し,広報委員会において,職業高校の理解をはかるために次のような実践活動を行った。

(1)中学校関係者(生徒,父兄,教師)および地域社会の人々を広報活動の対象とする。

(2)VTR番組の自主製作と活用
  本校の教育内容全般,すなわち,沿革,教育目標,学校行事,各科の特色, 進路情報,生徒会活動,施設,設備などについてのVTR番組を製作して広報活動に役立てた。特に中学校を訪問しての広報の際には大いに好評であり,HRや全校集会,父兄懇談会などの機会に,56年度だけでも300名を越す父兄,中学生に番組をみてもらうことができた。

(3)ガイドブックの作成と活用
  本校における進路指導の概要をまとめ,進路に関する情報を効果的に活用するために,ガイドブックを作成して広報活動に役立てた。ガイドブックには,進路関係情報の他に,本校の沿革,教育目標,各科の特色,学校行事,生徒会活動,施設設備などについても掲載して内容を充実させた。また,写真や図表を多く用い,体裁をリーフレット式のカラー印刷にして,内容をわかりやすく親


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