福島県教育センター所報ふくしま No.61(S58/1983.06) -007/042page
史的なものの見方や考え方が養われ,なによりも歴史学習のおもしろさや地域に対する新たな認識をも育てることができると思われる。
4 地域素材を活用した授業の展開例
(1)文化財を教材として
1 指導計画
(2) 展開上の留意事項
地域に所在する文化財は,地域史を構成する大切な要素である。これら文化財を学習することは,その地域の歴史的特性を知るうえできわめて重要である。しかし,その扱いについては,前述したように教材化の手続きを経ることは勿論だいじなことであるが,児童の興味や関心を重視し,その文化財を通じて内容が具体的に理解できるようなものを精選する必要がある。このことは,歴史上の人物を取り上げる際も同じである。また,実地見学や実際に触れるような指導や種々の視聴覚教材や資料を立体的に活用し,理解を助け深めるような指導を考慮したい。
更に,学習を通じて,文化財の価値や先人の業績を認識させ,関連する文化財や遺跡の愛護精神を高め,積極的に保護する態度を養うことも重要である。5 おわりに
地域は,児童が生活を営む場であるから,地域の文化財などについても見慣れたものが数多いことと思われる。これらについて,一定の手続きを経て,教材としての生命をもたせ活用を図りたい。
多忙である。地域をよく知らないなどの理由で,地域の素材を取り上げる機会をつくらないことが多い。しかし,地域の素材は,児童にとって身近であるだけに,児童が自ら疑問をもって調べたりするきっかけも多いし,学校での学習を自ら発展させていくのにも好都合である。また,児童の個性,能力,特に創造力を伸ばす素地をつくるという点でも絶好の教材となり得るのである。
地域の素材は,各教科,領域に活用できる。そのためには,学校において,教育課程の編成・実施に当たり,その学校を取り巻く地域環境を見直し,素材の発掘をして,それを教育課程に位置づけておくことが必要である。
参考・引用文献
・文部省1982 『小学校教育課程一般指導資料』II