福島県教育センター所報ふくしま No.61(S58/1983.06) -013/042page
反省的心情をかきたてる点では,不十分な面があった。
このことから,生徒の意志発表をとり入れた事例である。(1) 終業式の内容と方法
・ 日常の学校生活の中でそれぞれの学期の終業式のテーマに合った内容の原稿を作成し,その発表を式の中に位置づける。
・ 式の順序は次のとおりとし,生徒発表とそれを受けた学校長訓話を二本の柱とし,式の全体進行は教師が行う。
1 開式のことば (教頭)
2 生徒発表 (各学年1名,1人5分程度)
司会,進行は生徒
3 校長先生のお話
4 校歌斉唱
5 閉式のことば (教頭)
・ 終業式のテーマ
学年\学期 I II III 1 学級づくり 学級のまとまり 学級と自己 2 学年のまとまり 学校の中堅 学年と自己 3 学級・学年をこえて 学校生活のまとめ (2) 発表者の決定
生活ノート,学校生活や行事の反省(学級での話し合い),委員会活動の反省,生徒の作文等から式のテーマにあったものを学級担任が持ちより,生徒の学年運営委員と学年担当教師全員で決定。(3) 事前の指導
・ 生徒の生活反省は失敗事例に傾きやすいので,成功事例にも積極的に目を向けさせるようにする。
・ 発表原稿を発表者と生徒の学年運営委員とで検討し,補充,削除すべき事項を決める。その際,発表者の意図と特長を損しないよう注意する。
・ 発表原稿がわかりやすく,説得力のあるものになるよう教師の側から助言を与える。
・ 発表に必要な資料の作成や準備には,生徒の運営委員が協力するとともに,発表が学年の代表であることを全員に意識させる。(4) 発表例 (3年男子 1学期)
自分は1年生のとき理科部に入った。生物を育てたり観察することが好きでもあったが,もっとも大きな理由は,小学校のときから身体が弱く,運動部の激しい練習にはついていけないと父母も自分も考えたからである。しかし,2年生のとき野球部に入る決心をした。毎日窓から練習を見ていて,お互いに声をかけ合い,励まし合い,自分を高めようとしている野球部の姿にひかれたのである。ぼくは昆虫たちと別れて野球部に入った。もちろん選手になれるはずはない。それでも毎日グランドを走った。仲間たちの励ましを受けながら球を追い,バットを振った。不思議なことがおこった。前から苦しんでいたぜんそくがピタリと治まり,風邪ひとつひかなくなった。ぼくは今でも補欠であり,下級生の球拾いをしているが.野球部に入ってよかったと思っている。 (5) 事後の指導
・ 終業式後,発表の内容から学びとったことを話 し合わせ,生活ノートに学期のまとめとして記録 させる。
・ 同学年の発表については,共通課題の解決例と して連帯感,実践力を意識させる。
・ 下学年の発表については,自分の経験から補充 助言できる点を明らかにし,記録させる。
・ 上学年の発表については,学ぶべき点を明らか にし,今後の参考にさせる。(6) その他
・題材によっては,パネル討議,グループ発表, 全体討議などを加味するのもよい。6 おわりに
学校行事は,児童生徒一人一人の個性の伸長を図り,協調牲や連帯感を培うなど人間として生きるための様々な資質を養うのに最も適した教育活動といえる。これまで,実践力を育てる学校行事の指導について述べてきたが,これらを参考に各学校においてさらに創意をこらし,学校行事のいっそうの充実を図り,児童生徒が充実した学校生活が送れるようになることを期待したい。
参考文献 小学校におけるこれからの学校行事の進め方
(葵書房) 学校行事と生徒会活動(ぎょうせい)
雑誌 特別活動研究75(明治図書)