福島県教育センター所報ふくしま No.61(S58/1983.06) -017/042page
受講者の感想
学ぶことの多かった小・中・高・体育・保健体育講座 郡山市立柴宮小学校教諭
大 西 遠 征
私は,1月18日から21日までの4日間開催された体育主任講座に参加する機会に恵まれました。小学校10名,中学校10名,高等学校8名の計28名の先生方と,内容の充実した講義を受けたり,すばらしい実技の研修に参加することができました。
以下,講座の内容について,特に学んだことを中心に感想を 日程の順序により述べたいと思います。
・ 早稲田大学教授,梅沢宣雄先生の講義「体育経営」は,「体育経営のしくみ(構造)」「体育経営の進め方(過程)」についての内容でした。特に,校庭の中央に円をかき,ポールを置いたところ,それまでは,いくら指導しても校庭の隅でしか遊ばなかった子どもたちが,すぐ校庭の中央で遊ぶようになったという講義を聴いて,体育現象(児童生徒が運動を行う現象)を生起し,継続させることを目指して,必要な諸施策を進めていくという体育経営のあり方が理解できました。
・ 水保小学校教頭(現山岡小学校長),加藤哲夫先生の「基本の運動とゲーム」の実技指導では,小中高の区別なく,どの先生もいつの間にか運動やゲームに熱中してしまいました。実際に,児童を教えるときのことを想定して指導して下さったので,授業での教材の扱い方や児童の学習のさせ方がよくわかりました。低・中学年では,児童を楽しく夢中になって運動させることが,運動量も増え技能を身につけさせることにつながるということの大切さを改めて理解できました。
・ 文部省教科調査官,国崎弘先生の講義「保健学習における小・中・高の一貫性について」では,保健学習の内容が,どのような考え方から,どのように構成されているかという原理的な講義を聴いて,保健の内容が,人間の健康を守るという大前提に立っていることや,小中高の関連性がよく理解できました。実際に,指導書や解説書の縞集に携わっている先生の講義を聴くことができたのは,大変貴重な経験でした。・ 所員 石田威先生,深谷秀三先生の講義・演習「体育学習の評価と学習指導方法の改善」では,現在,なぜ評価の問題が考えられているのか,評価とは何か,どのような評価をすればよいのかということについて,具体的な考え方から,具体的な実践の方法まで教えていただきました。また,具体的な児童生徒の変容を見つけて,その都度適切に評価していくことや,絶えず評価することによって,体育学習の内容や方法について工夫と改善の努力を継続することが大切であることを痛感いたしました。この講義内容は,私たちの学校の校内研修で取り組んでいた研究内容とも関連していたので大いに勉強になりました。資料も早速,校内研修で活用させていただきました。
・ 筑波大学教授 加賀英夫先生の講義「体育学習における態度の評価」では,「態度とは何か」「楽しさとは何か」「関心や態度の評価はどうすればよいか」についての内容でした。普段,安易に用いている言葉でも分析すると深い意味のあることがよくわかりました。特に,体育や保健体育の教科は,身体活動を通して,すべての児童生徒の欲求充足や自己実現のできる教科であり,適切に評価をしてやれば,どの児童生徒も運動に積極的に参加する態度が形成されることがよく理解できました。
・ 保健体育課指導主事兼保健係長,堀金良臣先生の講義「保健安全と体力づくり」では,「健康の考え方」「生きがいと健康」「安全生活や事故防止と健康」「体力と健康」等,私たちが,今,最も考えなければならない問題について,具体的な例を交えながらわかりやすく講義していただきました。児童生徒や私たち自身の健康は,自らの努力で守ることが必要であることや,現在の児童生徒に見られる様々な健康上の問題について深く考え,適切に対処していく必要のあることを痛感させられました。
4日間の研修で,小中高の体育,保健体育の関連や体育主任としてしなければならない内容がよく理解できました。講座で学んだことを,今後の実践や研究に生かしていきたいと思います。