福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -003/038page

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3 「だれとでも仲よくし」:基本の運動において,運動の順番を守って仲よく運動すること,協力して仲よく運動するなどの社会的態度を育てる。
4 「健康・安全に留意して運動する態度」:運動する場所の危険物を取り除いたり,器具・用具の安全な使用の仕方を守ったり,器具・用具の安全性を確かめたり,運動後の汗や手足の汚れを適切に処理したりする態度を育てる。

2.教科の内容に関すること
 教材研究の第2の視点は,教科の内容に関することである。体育科の内容は,運動領域の内容によって大部分が占められ 高学年の一部に保健の領域が加えられている。ここでは,運動領域の設定の意図や運動領域の特性及び運動領域の発展系統について認識を深めておくことが重要である。

(1) 運動領域の設定
 運動領域は,体育科の目標や学年の目標にみられる強調点との関係から,児童の発達の特性と運動の特性との関連について十分配慮して,領域の整理統合や内容の精選を行って設定している。このなかで,児童の立場を重視する考えに立って,低学年から中学年にかけて,従来の運動種目などに基づく領域を設けることを改め,低,中学年の児童にとって,運動の特性に沿った課題を追求できる運動領域を明確にするために「基本の運動」の領域が設けられた。
 この領域は,児童の発達段階に応じて,運動の特性に触れることができる運動を選び,これらの運動を通して,運動の楽しさを味わい,喜びを体験しながら,運動の仕方を身につけ,更に,運動を通して体力を高めたり,最後まで頑張り通したり,仲間と協力し合ったりできる人間形成のうえで意味のある各種の運動を豊かに経験させるために内容を構成している。

(2)基本の運動の特性
 基本の運動は,児童が発達の特性に応じた運動課題を追求しやすい運動である所に特性がある。この領域の特性として,次のような点を認識しておくことが重要である。
1 「運動を行う者の立場から」:運動を実践したいという運動(活動)欲求から成立する運動
2 「運動の分類から」:児童が,どんな課題を追求できる状態になっているかという観点からとらえる運動。特に,勝敗とは関係なく体の動き自体を課題とする運動群である。更に,課題の性質から次のように細分することができる。

ア,自己を操作する動き:「移動を課題とする運動」「力試しを課題とする運動」「模倣を課題とする運動」「固定施設や大きな器具を使い複雑な場面での種々の動きを課題とする運動」「水中や雪(氷)上での移動を課題とする運動」
イ,他(小さな用具)を操作する動き:「用具を使って種々の動きを課題とする運動」
3 「技能の構造から」:低学年及び中学年では学習課題を追求するために,特定の運動技能を手段として使うことが児童の発達の特性からできにくいため,課題を追求する活動そのものの中に学習効果を見いだそうとする運動

(3) 基本の運動の発展系統
 児童が,基本の運動の学習を通して身につけた身体操作能力(体の動き)は,分化,組繊化した運動を学習していくうえでの基礎となるものである。したがって,児童は,高学年以降どのような運動を学習していくようになるか系統的にとらえておくことが必要である。
 小学校低,中学年の基本の運動から,高学年,中学校,高等学校への運動領域の発展系統は,下記のようである。

図 運動領域の発展系統

 3.児童の発達の特性に関すること
 教材研究の第3の視点は,人間個体の連続的な発達過程における児童期の発達の特性について理解を


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