福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -010/038page
な方法は,3(丸囲み)より4(丸囲み)を先にはできないので,開く順序が決まっている時でないと使えない。
(8) シートヘの穴のあけ方
時計などのようなTPを作る時,文字板のシートと針のシートを回転できるように止めなければならない。この時,穴をあける方法と止める方法が重要なのである。小さい穴は,熱した針金や線香,穴あけポンチなどであける。止め具には,スナップ,はとめ,へヤーブラシなどを利用する。へヤーブラシの利用とは,ブラシの1本を切り取り,電気半田ごての先で暖めて柔らかくし,机などの平らなところに押しつけて型を整え,釘の頭のようにする。反対側も同様にすれば,立派な止め具が出来る。スナップよりも小さいし,目立たなくできるので,この技術をぜひマスターしてほしい。(a)方眼シートの利用
算数・数学の授業で,グラフや図形などを書く場合,方眼シートに直接書く人を見かけるが,投影すると,方眼シートの線が大変目ざわりになる。
このような場合は,方眼シートの印刷されていない面にペンで図形等を書き,裏側の印刷されている線で不用な部分を,イレーザー液でふいて消してしまうと,すっきりした見やすい画面になる。(10) 移動レールの作り方
算数科で,面積を求める方法を発見させる学習等の際,よくシートの平行移動の場面がでてくる。この時,手で動かすために,震えたりしてまっすぐ動かず,平行移動でなくなってしまう時がある。
このような時,平行移動のレールが役に立つ。シートをレールに沿って動かしてやればよいので,きれいな平行移動をみせることができる。レールは厚紙で作ったり,ビニールファスナーの利用が考えられる。ビニールファスナーとは,ビニール袋の上部についている開閉自在,湿気防止用の止め具のことである。2p幅ぐらいに切り,一方をマザーシートに,他方を平行移動させるシートに両面テープで固定して使用する。
(11) 完成TPは,フレームに貼って保存する
厚紙でつくる時は,幅10oと5oのように2種類の幅の紙を用意し,狭い紙を両面テープでフレームに貼り,さらにその上に,両面テープで幅の広い紙を図のように貼る。一つならフレームの下側に貼る。上下,または左右に二つつけると丈夫で安定する。シートが薄すぎて,うまく動かない場合,シートにも幅1pぐらいの厚紙を両面テープで貼れば,スムーズに動かすことができる。この方法は,マスキングの際にも利用できる。
完成TPは,そのままでもよいが,フレームに貼って保存したい。専用のテープも市販されているがセロテープで充分である。シートにゆがみを生じさせないように,フレームの表側に貼る。
ラベルを貼ったりして,学年別,教科別の分類をしておくと整理しやすいし,とり出しやすい。4.おわりに
TP製作の技法や配慮すべき事項は,これら以外にもたくさんある。紙面の都合でふれられないが,TP製作の過程で,もっとよい方法はないか,もっとよいアイデアはないかと考えながら取り組めば,すばらしい方法が発見できるものである。
最後に,よいTPを作るためには,それなりの道具が必要であることを強調したい。工作用の作業板をかねたカッティングマット,カッターナイフ,カッター用の定規,円を切り抜くために欠かせない円切りコンパス,小さい穴をあけるための穴あけポンチ,細かい作業用のピンセットなどをぜひそろえてよいTPを作りたいものである。高価なものでないし,TP製作だけでなく,他の作業の時もあると便利な道具なので,学校で,個人でぜひ購入してはしい。
よいTPは,TP製作の経験の積み重ねの上に初めてできるようになるものである。一朝一夕でできるようになるものではない。
TPを作って授業をし,作り方,提示のし方などを反省し,それを次回のTP製作に生かしていく。この積み重ねが,わかる授業や楽しい授業の創造につながっていくのである。