福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -011/038page

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教 育 相 談

教育相談 に お け る 交流分析
(TA−Transactional Analysis)の利用について

(2)

−交流の分析(やりとり分析)−


教育相談部 佐久間 益 郎

1.はじめに
 人間同志のコミュニケーションはすべてそれぞれの人が持っている三つの自我状態(P…親,A…大人,C‥・子供)の間の交流である。
 交流の分析(又は,やりとり分析ともいう)は,自分と相手のかかわり合いを三つの自我状態を用いて分析する方法である。
 交流の分析をすると意識的に,日常のコミュニケーションをより効果的,生産的なものにしたり,もつれた交流をよりよい交流にコントロールすることもできる。
 そこで,交流のパターンを紹介し,そこから,より効果的な方法を考え,さらに事例を通して内容を深めてみたい。

2.交流の分析
 すべての交流は相補的交流,交叉的交流,裏面的交流の三つのパターンに分類できる。
(1)相補的交流
  バーンは,相補的交流とは「適切な,期待され る交流であり,健全な人間関係の自然な秩序に従 うものである。」と述べている。

図1相補的交流

1(丸囲み)「今,何時ですか」
2(丸囲み)「ちょうど,8時になったところです」
(1(丸囲み),2(丸囲み))いずれも,冷静に)

 図1の交流を見ると,]さんは自分のAから,YさんのAに対して,情報を求め,Yさんは自分のAから]さんのAに対して情報を提供している。つまり,AとAの交流であり,図に示すと平行の矢印が引ける。このように,交流を示す矢印が同じ自我状態間で平行に図示できることを相補的交 流(図1.2)という。

図2相補的交流

1(丸囲み)「この問題,教えて下さい」
2(丸囲み)「どれどれ 見せてごらん」(やさしく)

 以上のように,相補的交流は,お互いの関係が“期待されたとおりの関係”にあるため,コミュニケーションはスムーズで,お互いが続かせようと思えばいつまでも続くという特徴を持っている。

(2)交叉的交流
 交叉的交流は.ある種の期待をして対応したにもかかわらず,その期待に反した反応が返ってきた時の交流である。

図3交叉的交流

 1(丸囲み)「今,何時ですか」
   (冷静に)
 2(丸囲み)「そこの時計を見れば,わかるでしょう」
  (教えるように)

 図3の交流を見ると,]さんは自分のAから,YさんのAに対して情報を求めたが,期待に反して,Yさんは自分のPから]さんのCに返した。この交流は交叉した矢印で表すことができる。つまり,交流を示す矢印が交叉するか,平行に描けても,逢う自我状態同志で交流がなされている場合の交流を交叉的交流(図3.4)という。
 交叉的交流は,予期に反した答えが返ってくるためコミュニケーションはそこで中断し,何か裏切られた感じがするし,人間関係がまずくなる。
 しかし,とりとめのない対話を打ち切るには,


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