福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -022/038page

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学 校 経 営

教育目標具現化への方途

経営研究部 佐 藤 嘉 之

1.教育目様具現化の現状
 教育目標の具現化について,各教科・領域からみた場合の現状について述べてみたい。
 例えば,教育目標に,「思考力を高める」・「創造力に富んだ子ども」と設定されていながら,教科の授業の実際においては,教師の一方的な説明だけで,子どもに考える場が考慮されなかったり,あるいは,創造力の育成を目指しているのに,知識の伝達・受容に終始するようなことがあったとしたら,これは,教育目標が授業の実際に生きて働いているとはいえないであろう。

 今日,教育目標に対する関心は非常な高まりをみせ,どうすれば,教育目標が学校におけるすべての教育活動の「かなめ」として生きた働きをするものになるか,各学校においても真剣に考えられてきている。

 当教育センターにおける「学校経営(A)講座」の主題研究の傾向からみても,下の表のように,教育目標の具現化に関する研究が多くとりあげられている。

学校経営(A)講座主題研究にみられる動向 N=162
研究内容\年度 53 54 55 56 57 合計%
教育目標の具現化 14 14 15 12 7 38.3
組織・運営の改善 10 8 2 8 7 21.6
校内研修の充実 6 7 7 3 8 19.1
教育課程の改善 1 0 5 3 3 7.4
生徒指導の充実 0 0 2 5 3 6.2
モラールの高揚 0 2 0 1 1 2.5
その他 1 0 3 2 2 4.9

 次に,教育目標が各教科・領域の指導計画にどう生かされているか探ってみる。
 当教育センターにおける,昭和57年度「教育課程の経営に関する研究」の研究協力校(県内中学校36校)に,教育目標を指導計画にどう生かしているかについて,アンケート調査をしてみた。

 調査結果によると,各教科・領域にわたって,教育目標が具体的に計画に生かされているという項目への回答は,わずか20%にとどまり,一部の教科で計画化されているという回答も12%である。
 他の約70%の学校は,教育目標と指導計画との関連があまり図られていないと回答している。
 これと合わせて,教育目標と学年・学級目標への生かし方について調査してみた。
 調査結果によると,学校・学年・学級目標は互いに関連づけられているとする回答が82%にも達している。
 教育目標が学校経営の過程で指標として生きて働くものとなるには,学年や学級の目標に具体化しその達成計画に生かすことが大切である。
 同時に,教科・領域の指導においても,学習指導要領に示された目標達成に合わせ,その学校の教育目標が達成されるよう具体化され計画化されなければならない。

2.教育目標具現化についての考え方
 教育目標の具現化の条件について考えてみた場合次の三つがあげられよう。
(1)教育目標の認識を深め,明確で,具体的なものにしていくこと。
(2) 教育目標を教育課程さらには授業に結びつけること。
(3) 教育実践をとおし,教育目標が具現(あるいは達成)されたかどうか判断すること。
 ここでは,テーマとのかかわりから(2)について述べることにする。
 まず,最初に教育目標具現化のための筋道について考えてみたい。
 第一に,目標具現化に密接な関連をもつ,重要な場面や組織を取り上げることである。たとえば,


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