福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -027/038page

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 ≪アイディア紹介≫

自作TPによる授業の改善への取り組み

福島県立東白河農商高等学校教諭 工 藤 馨 三

1.はじめに
 「やろうとしない生徒」,「わからない生徒」がいる現実の中で,教師中心のつめこみ授業だけが行われているとすわば,学習意欲はますます低下する。
 生徒は,現時点における到達点から無理なくそれぞれに応じた次の到達点へ向けられたとき,さらにやろうとする意欲が高まるのではないか,との見とおしを立て,種々の方法による授業を実践し検証を行った。その中で次に述べる自作TPによる授業展開が効果的であったので紹介したい。

2.わかる授業づくり
 本校は農業,家政,家政の三科からなる実業高校である。生徒の大部分が就職希望で,本校での学習が学校教育の最終であり,それぞれにふさわしい教養を身につけさせたいと考えているのは本校教師の共通な願望である。以前には小学校の教科書から指導して到達度を高めようとしたが,生徒の自尊心まではぎとり,すべてを失わせる結果を生じさせてしまった。生徒に対しては今までに経験したことのない,フレッシュな指導法がそれを開く突破口になるのではないかと考えた。その中の一つが授業内容をドライラボにしてイラストで構成した手作りTPによる授業である。内容については担当教師団を組織し,共通理解のもとに,共同作業を通して作製にあたった。作製上の留意点についてまとめると次のようになる。

1 TPは特定の教師の名人芸的なものではなく,その教科担当の教師全員が使用,展開できるものであること。
2 同一のTPを2枚以上作製し複数の教師が同時展開ができるようにすること。
3 TPにみあったプリントを生徒に配布し,集中力を高める工夫をすること。
4 作製にあたっては,カラーペン,カラーシートを用い,要所要所は鮮明に彩色し,面白いイラストで,印象に残るものをつくること。
5 知識量を精選し,十分な時間をかけるべき内容の場合は,TPを多用せぬよう教師団で慎重に吟味し授業公開による検討を経て取捨し改善を図ること。
6 知識や,教科内容の約束ごとは合科的に展開し,歌にしたり,作業させたりできるようなすること,などである。

図1.はこれらの留意点を異体化した作製例である。
指導に用いたTP(1)

  指導に用いたTP(2)
指導に用いたTP(2)


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