福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -007/042page
一つの問題について,個々の生徒あるいは学級集成の達成状況を明確にとらえることができ,その後の個別指導や一斉指導に役立つものと考える。
(2)学期末・学年末における総括的評価のための基礎資料
なお,できた問題には○印を,できなかった問題には×印をつけて表している。
学期末や学年末の総括的評価については,単元末における評価と同様,生徒のつまずきの発見とその回復とを重要な目的としているが,指導要録など生徒の成績評定の意味も有する。
そこで,単元末や学期末などの総括的評価テストの結果をすべて記入できるような,個人どとのカードを作るのもよいと考える。(表−4)このカードによって,生徒一人一人の学期,あるいは学年を通しての学習状況を,一層的確にとらえることができよう。また,カードへの○,×の記入については,生徒に行わせることができ,能率的に処理できるであろう。なお,備考欄には,簡単な所見などを記入しておけば,評価のためだけでなく,その後の指導のための資料としても利用できると思われる。
次に, 表−4「学期末・学年末における総括的評価のための基礎資料」を基に,観点別学習状況を評価するに当たって,問題を,それぞれの観点どとに振り分ける一つの方法を述べてみたい。
表−4のそわぞれのテストについて,例えば「知識・理解」に関する問題が.整数では1,2,5,7,…,正負の数では6,7,…,文字と式では1,2,3,…,であるとすれはその部分を切りぬいた用紙(これを「知識・理解フィルター」とよぶことにする)を作る。(図−2)
この図−2のフィルターを,表−4に重ね合わせることによって,「知識・理解」に関する問題の振 り分けと,そのできぐあいが一目でわかる。図−3は,A男の基礎資料カードに,「知識・理解フィルター」を重ね合わせたところを示すものである。
同様にして,「技能フィルター」,「数学的な考え方フィルター」を利用すればよい。
このようなフィルター利用によって,観点どとに問題を並べかえたり.拾い出す手間が省け,簡単に処理できると思われる。
以上のような手順で処理された結果を基に,それぞれの観点についての評価基準に従って,「達成」,「おおむね達成」,「未達成」の評価を,効果的に行うことができると考える。5.おわりに 総括的評価というと,従前は,指導要録などにおける評定のための膏料という感が強かったが,今後は,その結果を基にいかに指導し,生徒により確かな力を身につけさせるかが,重要になってくると考える。
参考文献
・指導と評価 No.331日本教育評価研究会 図書文化
・新しい教育評価の考え方 梶田敬一 第一法規