福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -008/042page
教科外教育
道徳の授業の質的改善をめざして
経営研究都 渡 部 悦 夫
1.はじめに
道徳の時間が設けられてから,今年で25年めにあたる。 現在では,どこの小中学校でも日課衰に道徳の時間を位置づけ,遁1回ずつ道徳の授業を行っている。しかしながら,ねらいを達成するため,よりよい資料を準備し,その活用のしかたを工夫することに努め,児童生徒の一人一人に深い感動を味わわせるとか.多様な指導法を取り入れ 道徳的な心情や意欲を高め,内面化を図ったりするなど,道徳の授業を大事にし,より充実させようとする構えや努力は必ずしも十分になされているとはいえないような気がする。
道徳の授業を支える条件は,教科の授業にもまして数多くあり,たしかに難しいが,身近なことから検討を加え,道徳の授業の質的改善をめざしたいものである。
2.道徳の授業にかかわる問題点など
当教育センターが,「学校経営の改善に関する研究」で実施したアンケート調査などから道徳の授業に関するものを抜き出してみたのが,A〜C表である。(A表)道徳の時間の指導にあたり,問題点と考えられるもの
1 指導計画が活用しにくい。 12 2 主題配列程度の年間指導計画のため,活用しにくい。 12 3 よい資料が乏しい。 30 4 道徳の時間と他領域の関連が図られない。 12 5 資料が副読本に固定化しやすい。 72 6 教師中心の展開となりがちである。 46 7 実態把握不十分のため画一的な授業になりやすい。 18 8 授業の結果をすぐ実践化へと望んでしまう。 12 9 週一時間のため,教材研究をおろそかにしがちである。 26 10 つい,お説教がましくなり,押しつけの授業になりがちである。 20 11 指導過程が固定化し,マンネリ化しやすい。 22 12 テレビなどにたよりすぎ,めあてにせまれない。 6 (B表)道徳の授業について
1 日課表への位置づけ (いる) (小) 100(%) (中) 100(%) 2 授業の実施 (いる) 78.3 72.5 3 標準時数のの実施 (した) 97.2 95.0 4 授業研究への取りあげ (ある) 58.3 72.5 5 リーダーの有無 (いる) 76.4 82.5 6 副読本の使用 (いる) 95.8 92.5 7 用いられている資料や方法1. (読み物) 90.3 (読み物) 97.5 2. (テレビ) 44.4 (テープ) 60.0 3. (テープ) 9.7 (ラジオ) 7.5
8 問題点や改善すべきことは何か。<小,中合計> 1位 授業研究などによる指導技術の向上 2位 資料の収集と活用を図る 3位 教師の意識の向上と人間関係の醸成 4位 日常生活の指導と関連指導の強化 (C表)昭和58年度 県内公立小中学校現職教育
主題分類 ( )内指定校
領 域 名 小 中 領 域 名 小 中 学習指導一般 32 155 家庭・技家 8 0 国 語 180 2 体育・保体 40 3 社 会 40 0 道 徳 31(12) 4(3) 算数・教学 159 1 特別活動 41 23 理 科 50 1 生徒指導 23 44 音 楽 9 2 学校経営 15 9 図工・美術 15 0 そ の 他 12 9 3.道徳の授業の質的改善のために
前にあげたA表,B表を見ても,教科指導とは建った道徳の授業特有のとまどいや行きづまりが多分に感じられる。
これらの問題点の原因を究明し,道徳の授業の質的改善を図っていくためには,道徳教育に対する理