福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -022/042page
3.教育課程評価票(試案)の試行調査と改善への取り組み
先にも述べたように,「教育課程評価票(試案)」の素案により研究協力校(小・中学校各3校の全職員及び小・中学校各11校の代表者)による試行及び調査により,その実用性・妥当性について検証された。集計結果は,下の表のとおりである。
問1. 教育課程経営の改善充実をめざして教育課程評価を実施しましたが,それについてどうお考えですか。
1. 本校職員の一人として、教育課程経営の実態をとらえ るよい機会であった。 49% 2. 自分自身の教育課程の展開について反省するのに よい機会であった。 48% 3. 教育課程評価はそれほど意味があるとは思えない。 3%
問2. これまで一般的に行われていた「反省提出」などの方法による教育課程の評価と,子のような教育課程評価表を使っての 方法と」くらべてどうお考えですか。
1. 「教育課程評価票」による方法がよい。 69% 2. 「反省文提出」などの方法がよい。 10% 3. どちらともいえない。 21%
問3. 教育課程評価の結果を集約し,プロフィールとしてまとめた場合,それは学校の実態に照応しているとおもいますか。
1. プロフィールの傾向は,本校の実態をかなり正確に 表す。 13% 2. プロフィールの傾向は,ほぼ妥当な線を示す。 84% 3. プロフィールの傾向は,実態にあまり即応しない。 3%
問4. 今回使用した「教育課程評価案(試案)」 についてお答え下さい。 (1)評価領域について
1. もっと多くすべきだ。 4% 2. この程度でよい。 76% 3. 多すぎて負担に感じた。 20% (2)評価観点の表現について
1. 評価しやすい表現である。 18% 2. この程度でよい。 70% 3. 表現が不適当で評価しにくい。 12% (3)今後の教育課程評価について
1. 今後も,この教育課程評価票によって実施した ほうがよい。 17% 2. もっと自校化する部分があるが,この方法で実施 したほうがよい。 79% 3. 従来のような方法による評価のほうがよい。 4% 評価試案の試行による調査に当たっては,設問どとに調査のねらいと調査後の反応を予想したが,はぼ予想どおりの結果となって表れたことや,次の意見や感想からも,当評価試案の実用性・妥当牲が幅広く認められたと見てよいのではないかと考えられる。
・ 教育課程の状態を系統的・全体的に把握することができる。
・ 手の届かなかったこと,気付いていても手の出せなかったことの評価をするのによい機会となる。
・ 個人の主観に頼りがちな反省を,客観的な評価に導く転機である。
・ 実施によって,校内のモラールの向上に波及するものと考えられる。
このほかにも,当評価試案に対する多くの意見が寄せられているので,それらの負重な意見を集約し,評価の実際面をさらに充実するよう吟味検討を加え,試行後の評価票試案の改善に生かしていきたい。次に,その改善,修正のためのおもな視点として ・ 評価観点を具体的でわかり易い表現にするとともに,動態的な視点からの表現を工夫する。
・ 評価観点の内容を領域個々の特質に即して,詳細に吟味検討し,基準性をもたせるよう工夫する。
・ 「教育課程経営考察資料」作成に当たって,プロフィールなどの数値のみで判断せず,自由記述欄の意見を尊重するよう配慮する。評価票試案の全体にわたって以上のような検討,修正を加えるとともに,評価票の内容についての若干の修正等をとおして,同試案が現代における教育課程評価の評価票としてふさわしい役割を果たすことができるように,量・官両面についての充実につとめたい。さらに,研究協力校の実践例を紹介し,教育現場における各学校の実態に応じて当試案が活用できるように配慮したい。
当評価試案が教育課程経営評価の実際面で活用され実践状況の感想及び意見 批判などに導かれながら,さらに価値ある評価方式として利用産が高まるものとなるよう検討を加えたい。4.教育珠程の改善
本研究は,教育課程の評価と改善を「教育課程経営」における一過程としてとらえ,教育課程の評価が評価本来の意義を発揮し,また教育課程の改善が学校教育の効果を一層高めるため常に横能しているという意義を発揮させるために,「評価より改善に