福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -024/042page
研 究 報 告
自ら学びとる態度の育成をめざした生徒指導
−学業指導を通して− 西白河郡中島村立中島中学校
1.研究主題設定の理由
生徒指導の究極的な目標は,一人一人の生徒自身が,自主的,自律的な自己指導ができるようになることである。このねらいを達成するため,本校では四つの教育目標をかかげ,さまざまな教育活動を展開してきた。しかしながら,現実は理解の遅い生徒や無気力で自主性に乏しい生徒の指導をどうするかが今日的課題であり,過去3年間,「確かめながら学ばせる指導過程」を研究主題として指導過程全般に改善を加え,それなりに成果をおさめ,現在にいたった。そうした折, 昭和57年度,昭和58年度の2か年間,「文部省生徒指導推進校」に指定されたのを機に,これまでの研究成果を基礎とし,さらに,生徒指導面からのアプローチを強化しながら研究を推進することになった。この研究を進めるにあたり,教師ならびに生徒からのアンケートと諸検査を分析・検討した結果,学校生活の大半を占める学習活動に陥没点があり,学業不適応の原因把握や,それらの排除,学習意欲の高揚,のぞましい学習習慣の形成など,学業指導の改善に迫られた。これらの諸問題を解決するため,個人の差異に十分な配慮をして生徒理解に努め,学業指導の改善を図ったならば,生徒は,いつでも,どこでも,何をするにも「自ら学びとる」態度が身につくであろうことを期待し,王題を設定した。
2.研究仮説
上記の内容をふまえ,本校では主題にせまるため,次のような研究仮説を設定した。
正しい生徒理解のもとに学業指導の充実を図り,学びとる満足感,成就感の味わえる学校生活を組織すれば,一人一人の主体性が喚起され「自ら学びとる態度」の育成が期待されるであろう。 本校で考える「自ら学びとる生徒」とは,常に人間として正しいあり方を追求し,自己を磨き,自己を高めていく自王的,自律的な自己指導のできる生徒である。それはどんなに激動する環境に遭遇しても的確な判断力とたくましい実践で生き抜き,生徒各自がよりよい方向に発展できる人間になってくれることを願ってのものである。このように白玉的,自律的な自己指導のできる生徒は.個人や集団の中にあっては根気強く,責任の果たせる生徒であり,お互いが認め合い,協力し合って物事に対処し,たくましい実践力を生み出す強い意志と体力をもたなければならない。
以上のことをふまえ,本校では「自ら学びとる生徒」像として,「自ら計画」し,「自ら実践」し,「自らたしかめ」のできる生徒の育成を目指すことにした。