福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -030/042page
測定すると,電極に銅が付着するが,このことを疑問点として残し,次時の導入としていきたい。
イ、指導過程例3 塩化鋼水溶液の電気分解
ア、指導内容
塩化鋼水溶液を電気分解し,錮の析出と塩素の発生を観察させる。30秒〜60秒間くらいで変化するので,変化を確認してから,逆転スイッチにより,+極,一極を交代させ,帯素棒の変化を観察させる。その後,炭素棒をはずし,付着物が銅であることを理解させる。3 酸性水溶液の共通性を調べる
ア、指導内容
塩酸,硫酸,酢酸水溶液の通電性を,1と同様にして測定させる。酸性水溶液の共通性の一つとして,電流が流れることを理解させる。
4,おわりに
本器を使用して,効果があったと思われることと,今後の課題を述べてみたい。
(1) 効果
1 今まで,本単元の授業では,配線に時間がかかっていたが,配線の手間が省け,測定,考察,発表に時間を十分かけることができるようになった。
2 実験を見ていたり,あるいは,記録だけの係分担の実験でなく,生徒一人一人が測定値を出すことができるようになった。
3 本器が目新しいためか,大変興味を持って学習に取り組んでいたようである。また,電流が流れることを明るさで表わすことは,効果があったように思う。なお,電球は,ニップル球でも良いが,微少電流では点灯しないので検討しなければならない。(2)今後の課題
本器を使用させるときには,配線構造について知らせるが,配線の学習については,他教材で深めるようにしたい。また,この装置は,電流計のレンジや電解装置のしくみなど,もっと改良と工夫をする必要がある。
この授業を通して,生徒一人一人が,興味を持って学習に取り組める教材,教具の開発をすることも大切であることを痛感した。これからも,生徒が一層実験学習に関心を持つ授業が展開できるよう,さらに,教材づくりや指導法の改善につとめていきたいと思う。