福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -033/042page
アイディア紹介
重症心身障害児の教育効果をあげるための創作教材の作成と活用について
県立須賀川擁護学校 重心 訪問部
1.はじめに
私たちの重心訪問部は重症心身障害児を対象とした学部である。児童生徒は知的能力,運動能力などの発達段階にも個人差が大きく授業は養護訓練を中心とした形態をとっている。養護訓練はいわば学習を可能とする基礎的・基本的な能力や態度を培うものである。心身が重度で重複障害をもつ子どもたちにとっては多くの時間と手厚い指導が求められなければならない領域であるし,その中で子供たちの能力を最大限に発揮させるためには,その子にあった効果的な教材が必ず必要になってくる。
私たちは個々の児童生徒の実態を見きわめそれぞれの子どもにあった創作教材のアイディアを出しあい,教材製作とその活用を図ってきた。その創作教材のいくつかを紹介し参考に供したい。2.教材名 円形回転盤
1分野 平衡感覚及び上肢,下肢の訓練
2ねらい
腹臥位,仰臥位,座位でのせ左右の水平回転により全身の基礎的運動機能開発に使用し,更に腹臥位で上肢を使い自力で回転させ,又,両足でけり回転させ下肢の訓練にも役立たせる。
3設計の概要4指導方法と効果
回転盤上で回転させることにより平衡感覚を刺激し感覚意識を高めるようにする。自力で上肢を使い腹臥位で自分の体を回し,体を支えることにより上肢の訓練をさせる。又,両足を使い仰臥位で回転盤を回し下肢の訓練と体のバランスがとれるよう運動させる。継続指導によりねらいを達成させ,経験と感覚意識を高めることができる。
3.教材名 傾斜つきフロアーカー
1分野 上肢,下肢の訓練
2ねらい
傾斜つきフロアーカーで特に腹ばいで遊ぶ時に両手を伸ばすことができ,又,自在車の活用で自力で移動を可能にさせ仰臥位で足をつかい移動させ上肢・下肢の訓練に役立たせ,あわせて回転させたりすることにより運動機能の開発に役立たせる。
3設計の概要4指導方法・効果
傾斜つきフロアーカーは遊ぶ時に腹ばいで使用させる。積木あそび,型はめ,絵本読みなどいろいろな遊びや学習が比較的可能な子どもで腹ばいで両手の使用ができる子を対象にする。
更に上肢をつかい自力での移動やベグポートなどができ,仰臥位で首をおこす子どもの姿勢を楽にさせ視野を広げさすことができる。このように上肢,下肢の訓練と腹ばいでの両手の動きを容易にさせると共に上肢・下肢を使っての移動の際に動く目的に向っての移動を容易にさせることができる。4.教材名 クローリングタイヤ
1分野 感覚運動を豊かに獲得させる。