福島県教育センター所報ふくしま No.64(S58/1983.12) -009/042page

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<表4>乾式と湿式の特徴の比較
  乾   式 湿   式
不要部分の消去 TP完成後はできない。原稿の段階で紙を貼る ・切除・修正液を使用 すればできる。 TP完成後もできるものが多い
時  間 数秒以内 数分から数十分以上かかるものもある
TPのでき具合 鮮明でないものもある 解像力がよい

4.感熱式TP作成機について

 今回の調査によると,大部分のTP作成機は乾式複写法によるものである。その中で最も多いのが感熱式によるものである。
 以下,感熱式TP作成機に焦点を合わせ,述べることにする。

(1)感熱式TP作成機の原理
 現在使われているこの種のTP作成機には,赤外線ランプとクセノンランプ(ストロボフラッシュ)を使用している。
 いずれも,熱に対して非常に敏感に反応する感熱フイルムを使用している。原稿とフイルム(TPシート)を密着させてTP作成機にかけると,原稿の黒くかかれた部分が熱を吸収して温度があがり,その部分のフイルム(TPシート)が物理変化 を起こし,黒くなる。
感熱式TP作成機の原理
感熱式TP作成機の原理
(2)原稿として使用できる条件

  1. 原稿はカーボン,または赤外線吸収発熱物質を含んだインクを使用して印刷されたものか,または,このような材料を使った筆記具で書かなければならない。
    • 謄写版による印刷物・電子複写機によるものは効果的にTP化できるので活用されたい。
    • 鉛筆は,F・HB・Bあたりがよく,筆圧を一定に,ていねいに書く必要がある。
    • 色鉛筆・サインペン・ボールペン・黒インクはカーボンを含んでいないので,ほとんどのものが使用には不向きである。
    • 証券用・製図用インクはカーボンを含有しているので,筆記具として適切である。
  2. 資料の大きさはOHPのステージの広さの範囲内でなければならない。(約24cm平方)
  3. あまり細かな文字・図表は,投映された場合に視覚的に見にくくなるので,文字の大きさは,1センチ角くらいが標準となるようにおさえたい。
  4. ボール紙や和紙などのように表面がでこぼこしていて厚味のある紙は,圧着性が少ないため,TPシートとの間にすき間ができるので,TPシートの物理変化が薄くなるので適切でない。
    したがって,レポート用紙・ノート・ざら紙・中質紙・上質紙などを使用する。
  5. カラー印刷されたものはカーボンを含んでいないので,カラーでないものか,カラーの部分の少ないものが適している。

5.TP作成機活用上の問題点

 TP作成機活用上の問題点として指摘されたものをまとめたものが<表5>である。     

<表5>TP作成機活用上の問題点 (単位% 上位4つ)
  1   位 2   位 3   位 4   位
文字が見えにくい TPのカラー化が困難 教材によって作れない 見やすく書いたりまとめるのが困難
40.4 35.1 18.1 3.5
39.4 27.3 19.2 13.1

 特に多い,「文字が見えにくい」「TPのカラー化が困難」という問題をとりあげてみたい。

(1)文字が見えにくい場合について

  1. 文字がうすい場合
    • カーボンを含んだものであるかどうか確かめる。
      文字が薄く複写された場合は,2〜3回複写を繰り返すことで濃くすることができる。
      それでも鮮明度がわるい場合は電子複写機でコピーして原稿にする。
    • 機械の感度調整を確かめる。


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