福島県教育センター所報ふくしま No.64(S58/1983.12) -010/042page
- ステージ面・TPシート・原稿が冷えていたり湿っていないか確かめる。
- 圧力はじゅうぶんか,または,サブマットなどを使用して密着する必要があるかどうかを確かめる。
- ステージ面・TPシート・原稿が冷えていたり湿っていないか確かめる。
- 圧力はじゅうぶんか,または,サブマットなどを使用して密着する必要があるかどうかを確かめる。
- 文字・図表が小さい場合
- 0HPの拡大レンズを使用し,文字を拡大する。(ただし投映面積が小さくなる)
- 電子複写機により新たに原稿を拡大し,TP化する。
(2)TPのカラー化が困難なことについて
黒以外の赤や青などの色彩化については,技術的に再現できない。しかし,教材としての効果から,色彩化については配慮しなければならない。
従って,彩色をほどこす場合には,原稿とTPシートを密着させた状態で彩色をし,材料としては,カラーシート・彩色ペンなどを使用する。6.TP作成機使用上の留意事項
- TP作成機をより効果的に活用するための留意事項について述べてみる。
- (1) 市販の印刷物・書籍・書道作品・鉛筆画やクレヨン画などを直接複写すると原図のインク(カーボン)を取り去り,原図の印刷部分を消してしまう場合もある。従って,電子複写機でコピーした原稿からTPを作るようにする。
- (2) 同一原稿からの複写を何回も行うと,しだいにカーボンがTPシートに付着し,原図を薄くし,TPの仕上がりが悪くなってくる。
- (3) 原稿には折り目・しわをできるだけ作らない。
- (4) 薄い紙がTPシートに焼きついた場合は,ぬるま湯にひたしてはがす。
- (5) 運搬やセットをする場合は,落としたりしないようにワゴン車などで運ぶ。
- (6) 直射日光の当たらない,風通しのよい場所に保管する。
- (7) 児童生徒に操作させる場合,内部をいじったり,機器をいためたりしないよう十分配慮する必要がある。
7.授業におけるTP作成機の効果について
- (1) 学習者の授業への参加意欲を高める
- 児童生徒の思考のようすや調べたことを記録したノートなどを直様TP化して発表することができるため,学習に対する参加意欲を高めることができる。従って,事前にノートの記入のしかたについて,配慮する必要がある。
- (2) 思考の多様化をはかることができる
- 学習を進めていくとき,固定した考えからぬけ出すことができなかったり,発展性のない考え方に陥ったりする場合がある。このようなとき,他の児童生徒の多様な考えをTP化して提示することにより,思考の幅を広げたり,発想の転換をはかることができる。
- (3) 最新の資料を提示することができる
- 社会科の授業などにおける,新聞や雑誌の統計資料を直接TP化して活用することができる。
- (4) 他の視聴覚教材と併用して活用できる
- VTR・16ミリ映写機・スライド映写機・市販TPなどを併用し,多くの情報を提示し,そのうえにたって思考を練り上げ,TPを通して発表しあったり,また,話し合いにより思考の深化をはかる。
このように,学習過程に適切に位置づけることによって,学習を具体的・確実にすることができる。
- (5) 学習指導の効率化をはかることができる
- 算数の図形指導,社会科の手書きの困難な地図図表・統計資料,音楽科における楽譜の提示など直接TP化することにより,時間の短縮をはかることができる。
8.おわりに
以上述べてきたTP作成機は,それ自体,OHPで投映するためのTPを作成する機器にすぎない。
しかし,「わかる授業」のためには以上述べたように,OHPを活用することにより,児童生徒の理解力や思考力を助長するのには効果的である。
なお,TP作成機の活用例・配慮事項はこれ以外にも考えられるので,日々の実践の中で使用事例の累積をはかり,授業の質的改善をはかっていきたいものである。
参考文献
- OHPの活用とTP製作の実際 末武国広・岸本唯博 学習研究社
- TP製作のすべて 中村適正 明治図書