福島県教育センター所報ふくしま No.64(S58/1983.12) -013/042page
生徒指導
長期欠席児童生徒数の推移と登校拒否生徒の相談事例
経営研究部 藤 本 忠 平
文部省の学校基本調査によると「学校ぎらい」による長期欠席の児童生徒が増加傾向にあり,その推移は図1のとおりである。このような状況をふまえ相談の一事例から,その指導を考察してみる。
1.長期欠席児童生徒数の推移
「病気」と「学校ぎらい」を対比してみると,特に,中学校で学校ぎらいの増加がいちじるしい。
注)1 長期欠席とは,年度間に連続又は断続して50日以上欠席した場合をいう。
2 出典1983(通巻132号)教育調査P46より引用
図1「病気」,「学校ぎらい」の長期欠席児童生徒数
都道府県別統計による本県中学校の「学校ぎらい」による長期欠席生徒数は,47年度120人(理由別構成比22.7%)から56年度195人(同42.6%)に増加している。当教育センターでは,病気以外で登校しない児童生徒をすべて登校拒否として集計しており,その傾向は表1のとおりである。
表1 相談内容(上位)の推移 (実人数)
(福島県教育センター教育相談部)年度/内容 登校拒否 非 行 多動性・集団不適応など 場面かん黙自閉症 54 115 16 14 10 55 105 17 14 12 56 170 48 19 12 57 165 56 56 自閉症 10
自閉性言語発達遅延 10そこで,一つの相談事例を取り上げ,登校拒否の実態を分析してみる。
2.事例 <登校拒否>
(1)生徒の実態
- 問題の概要
A男(高1)は入学後間もなくから欠席,遅刻,早退がみられ,授業中のいねむりが目立ち,学習などの取り組みも極めて低調であった。仲間との夜遊びや自転車窃盗で警察の補導も受けた。このことが学校に分って強い指導を受けた。このころより連続して25日欠席し,夏休みを迎えた。 夏休みが終り2学期が始まったが,A男は登校しなかった。日中は自室に閉じこもり,ふとんを頭からかぶって起きようとせず,夕方,仲間の有職少年が訪れると会う状態であった。- 諸調査・検査
- 家庭環境
イ 家族構成 父 45才 高卒 会社員 弟 中学2年
母 41才 高卒 会社員 妹 小学6年
口 人間関係・養育態度 父は婿養子で父親としての立場がやヽ弱い。