福島県教育センター所報ふくしま No.64(S58/1983.12) -034/042page

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アイディア紹介

理科における素材の教材化と活用

いわき市立平第三小学校教諭  小 泉 明 正

1.はじめに

 日常の理科指導における子どもの多様な見方考え方をうながし,活動の広がりが期待できるような素材や,より有効な教材の発見・見直しをはかるために昭和55年に「いわき素材研究の会」が組織され活動を続けてきている。地域の環境や地域性を生かした単元構成や教材化をめざして研究をすすめているわけであるが,今回は,その中のいくつかを紹介したい。

2.地域の教材化の例

 ◆地層の学習と地層模式図◆
 この学習は,児童が野外で直接観察できる場所を選び,それぞれの地域に応じた指導を工夫することが必要とされている。しかし,最近の身のまわりを見ると,切り通しや傾斜地の露頭が,セメントの吹き付けや種子植栽などの工法によって見られなくなり観察に適した場所が,次第にせばめられ少なくなっている。

(1)作成の意図
 そこで,地層を観察する際に,自分たちの学校の地下の地質のようすと,実際に目にすることのできる地層とを比較しつつ学習をすすめることができれば,子どもに興味・関心をもたせる地層の広がりをとらえさせることができるのではないかと考え模式図を作成した。
(2)作成上の留意点

  1. ボーリング調査の資料は,各学校の校舎及び屋内運動場建設に伴う調査報告書をもとに作成すること。
  2. 校地内外のどこに,サンプルと同じ地層が露頭としてみられるかをおさえておくこと。
  3. ボーリング調査による土壌サンプルを観察し保管をはかること。
  4. 所在地,調査時期,地層の各々の特徴を含めて地質概要を作成記載し,活用の便をはかること。
(3)教材としての有効性
  1. 自分たちの生活する土地の様子に強い関心をもち意欲的に学習に取りくむ姿が見られる。
  2. 柱状図から,不明な部分の様子を類推することにより,地層の広がりをとらえることができる。
  3. 校舎の立面と地下部の縮尺を明示することにより,地層の厚さや深さが理解できる。

資料T 地層模式図
いわき市立平第三小学校
  昭和47年1月調査
地図
地質概要(報告書より)
 調査位置は、常磐線平駅東方約2kmの所で、新第三紀湯長谷群本谷層を基盤として、
第四紀系沖積層が、これを不整合に被覆堆積している所で、夏井川に開析された河岸平野である。
 今回の調査地点の地質状況をみると、比較的N値の高い砂層は、5〜13M附近(上部砂層帯)と
30〜35M以深(下部砂層帯)の二層がある。
地層模式図

3.素材の教材化の例

 ◆演示用空気でっぽう◆
 3年生の「空気でっぽう」の学習で,空気の弾性をとらえさせるための教具として開発した。前玉が後玉に押されてとび出すまでのようすを,とらえやすくするため大型のものを作成した。
 簡には,径80mm,長さ1mで肉厚の塩ビパイプを使用。前玉後玉は,内径より4mm程度小さく円形に切断した発泡スチロールを4枚接着し,その周囲を木綿布で巻いて使用する。押し棒には,外径が2


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