福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -014/042page
受講者の感想
教育相談講座を受講して
県立安積高等学校教諭 佐々木 文 子
(1)はじめに
私が教育相談講座に初めて参加したのは,昭和56年度,そして翌年の昭和57年度と,2年続けて受講した。そこで目にし,耳にした数多くの資料や,講義の内容は,これまでの私の教員生活には勿論のこと,私的ではあるが,高校生,中学生の子供を持つ母親としても大変貴重な初体験であり,勉強の機会を与えていただけたことに感謝の念を強くした。 −とは言え,明けて昭和59年ともなりぬれば,あの時の研修内容などの感想を書くには,私の記憶がおぼつかない。ご指導下さったセンターの先生方には本当に申しわけなく思いつつも,何とか思い起こして見ようと思う。
(2)講座の運営と内容について
最初にすばらしい,と思ったのは,研修への導入方法である。ディスコ調のダンスで心身の緊張を解き,リラックスさせる話で,他の講座ではまず考えられないだろうと思った。また後期の最初に行われたマイクロ・ラボラトリー・トレーニング −感受性訓練− も大変おもしろかった。短時間で全く見知らぬ者同志の集合体から,そこはかとなく暖かさが生まれ,スムーズに研修生宿に入れるのだから感動してしまう。
昭和56年度(初回)の場合は,何もかも新鮮な感激や,驚きの連続であったが,翌年の2回目ともなれば,さすがに,かなり専門的で,予習もなしに臨んだ私には,消化不良ぎみのメニューもあった。
- 前期講座(57年9月6日〜9月9日)
バウム(樹木画)テストは,大変興味があり,研修後も資料を読んだが,樹木画の診断がやはりむずかしいところだと思う。しかし低学年の子供たちであれば無邪気に描くだろうから良い資料になるだろうとは思う。次にロール・プレイング,これは,ホーム・ルーム経営などの参考資料にも良く出ているので,大まかなことは知っていたが,実際役割を演じてみると,役になり切ることで精いっぱいになり, −常に自分を見つめる自分がいる− などの冷静さを持つことはかなりむずかしいと思った。それが寸劇などとの違いなのであろうか…。不良少女と先生の会話で事がセックスの件に触れると,男性の研修者もさっぱり演技が進まなかったが,担当の先生はさすがに,ベテランぶりを発揮,良いロール・プレイングの例を示して下さった。
前期の最後のY−G性格検査の分析は,私も生徒や,その御両親の貴重な資料を持参していたので,真剣さも格別で,かなり理解できた。
- 後期講座(57年12月7日〜12月10日)
事例研究を各自が用意して行われた個人理解の方法,だが,ほとんど記録内容を一読するのみで終ってしまい,研究協議まで行けなかったのは残念だった。資料の共通性について,研修生のフリートーキング・タイムが欲しかった。
行動力ウンセリングは,自分の学校の実状に向いている内容だったので,かなり良く記録も取り,現在も勉強を深めようとしている課題でもある。教育催眠,これも関心があり,期待していたことだった。それだけに最後の催眠演習は印象的だった。担当の先生の表情が生き生きと輝いて見えた。(3)おわりに
私は男子高校で「音楽」を担当している。彼らにとって,時には母親でもありたいと思い「教育相談」の勉強を志したのだが,まだまだ至らず,登校拒否生徒が出て来るたびに胸が痛む思いでいっぱいだ。連日受験勉強に担われ,自然と競争意識を駆り立てられている彼らに,せめて,自律訓練を身につけさせ,心身へのやすらぎを,と願っている。