福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -020/042page

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研究報告

学校経営のための効果的を診断・評価の工夫

いわき市立平第三小学校教頭  高 橋 郁 雄

1.研究の趣旨

 本校では,全職員による積極的な経営参加と学校経営の改善を目指し,例年年度末には,学校経営について評価の領域を決め,教職員に文章記述によって反省・評価を求め,問題点を整理して新年度の学校経営改善に役立ててきた。
 しかし,このような評価方法から脱却し,教育活動・経営活動の学校経営全般にわたって科学的な評価診断をして,その結果を学校経営改善に役立てることは,近代的な学校経営をすすめる上で必要なことであるという反省から,昨年度末に学校経営評価票(福島県教育センター試案)によって学校経営評価を実施した。

 実施しての問題点を要約すると
(1)評価の時期にゆとりがなく,研究不足のため教職員の意欲的な取り組みに欠けた。
(2)評価領域が広く,その上,評価要素や評価観点の文章記述に本校の実態にあわないものがあった。
(3)結果の活用面でも,組織を生かした経営改善計画を立案するまでには至らなかった。

 以上の反省から
(1)学校経営評価のねらいと評価の内容について,教職員の共通理解をはかり,評価に対する意識を高める必要がある。
(2)評価領域・評価観点を学校の実態に即して改善し,自校化をはかる必要がある。
 以上の2点の経営評価改善の視点から学校経営評価の方法について研究したい。

2.見通し

 学校経営評価の意義や必要性についての共通理解をはかる手だてを工夫し,実態に即した学校経営評価票を開発して評価を行えば,学校経営改善に役立ち信頼性の高い評価結果が得られるだろう。

3.研究の方法と対象

(1)研究の方法

  1.  学校経営及び学校経営評価に関する文献研究
  2.  学校経営評価実施(昨年度)による問題点の分析と考察
  3.  学校の実態に即した評価領域・評価観点の検討
  4.  評価用具・評価手びきの作成
  5.  学校経営評価票による評価の実施と結果の適否・評価
(2)研究の対象
    本校職員40名(男子20名 女子19名)

4.研究の概要と考察

(1)学校経営評価の効果と反省点

調査@ 昨年度兼学校経営の改善を目指して学校経営評価を実施しましたが,それについてどう考えていますか。
1.学校の実態をとらえるのによい機会であった。
2.自分の考えを経営に反映させるのによい機会であった。
3.経営評価など意味があるとは患わない。
(67%)
(30%)
(3%)

調査A 評価結果は,学校経営の改善に役立っていると患いますか。
1.結果は,十分学校経営に役立つよう新年度の計画の中に生かされ,実践されている。
2.部分的には.改善に役立つ方策がとられ実践されている。
3.評価がされても.改善に役立つ方策はとられていない。
(9%)
(82%)
(9%)

調査B 学校経営評価の方法についてどう考えていますか。
l.経営評価票によって行い結果を集計して話し合う。
2.反省文を書いて提出し.それをまとめて話し合う。
3.話し合いだけでよい。
(92%)
(5%)
(3%)

<考察>

  1.  調査1
     1.2を加えると97%の教職員が,この評価の意義を認めている。このような評価を意図的・組織的に行うことによって教職員の経営参加の意識を高め,モラールの向上に有効に機能するものと思われる。
  2.  調査2
     大部分の教職員は,部分的には役立つ方策がとられていると評価している。本年度は,問題点ごとに専門の機関などを設け,組織的な活動によって計画の上に役立てることが大切であると考えられる。
  3.  調査3
     学校経営評価票による方法は,客観性があり,しかも,学校の実態を多面的に把握する上で有効であり,大部分の教職員に支持されていることがわかった。
(2)学校経営評価実施上の問題点と改善点


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